ブログ

韓流

韓国のファンタジーVS正統派時代劇

 

韓国ドラマには「ファンタジー時代劇」と呼ばれるジャンルがあって、

これまで様々な作品が作られてきました。

主人公が特殊な能力を持っていたり、

魔法や呪術が出てきたり、

妖怪や魔物が登場したり

時空を超えたり…などなどの設定があるところが

正統派の時代劇との違いで、

たとえば大ヒットした『太陽を抱く月』(12)のように、

呪術が大きく取り上げられた作品では、

時代設定は「朝鮮時代」にしても、

主人公は実在の王ではなく架空の王にするなど、

どこかエクスキューズがきく要素が入れてあることが多いです。

 

それに対して『魔女宝鑑』は、

実際の人物を大胆に入れ込んだファンタジーである

というところがおもしろいです。

ホ・ジュンに関しては、これまでも

『ホジュン〜宮廷医官への道』(99)や

『ホジュン〜伝説の心医』(13)といった一代記が作られているので

『魔女宝鑑』を見て興味を持ったら、

さらにそうしたドラマを見てみるのもいいですよね。

逆にそちらを見てからこちらを見ると、

びっくりしてしまうかもしれませんが(笑)。

 

ファンタジー時代劇と正統派時代劇の

両方に取り上げられている最も古い時代を描いた作品といえば、

高句麗時代の偉大な王をペ・ヨンジュンが演じた

太王四神記』(07)でしょうか。

「映画『ロード・オブ・ザ・リング』のような世界観で作りたい」

というキム・ジョンハク監督の構想通り、

CGを多用した神話の時代から始まり、

その後も主人公が4つの神と出会っていくという、

ロールプレイング・ゲーム的な作りの大作ドラマでした。

登場人物たちも、天命というか、

人智ではない力によって動いていくという感じでしたが、

同じタムドクを主人公とした『広開土太王—こうかいどだいおうー』(11)で

イ・テゴンが演じたのは、とても人間っぽい王様でした。

 

新羅の女王の人生を描く『善徳女王』(09)も、

男装したヒロインが宮廷に戻ってくるなど、

ファンタジー色が強いドラマでしたが、

『大王の夢』(12)では、

多くの時代劇に主演してきたチェ・スジョンが

同時代を生きた王キム・チュンチュを重厚に演じて

正統派時代劇として描いています。

 

また、『シンイー信義—』(12)に登場する高麗時代の武将チェ・ヨンは

歴史上とっても有名な武将。

でもこのドラマではそのチェ・ヨンが超能力を持つ

という大胆な設定で、

天門をくぐって現代から整形外科医の女性を拉致してきます。

そんな彼と愛し合ったヒロインが結局は

「歴史上に残る第2夫人だった」ということを匂わせる内容に

なっていました。

チェ・ヨンは『大風水』(12)や

『鄭道傳〈チョン・ドジョン〉』(14)といった

高麗末期を扱ったドラマには必ず出てきますが、

そちらを見ると

「あのかっこよかったチェ・ヨンがこんな風になるのね」

と思ったりします(笑)。

 

朝鮮第4代王である世宗大王の若い頃を描いた

ポンダンポンダン 王様の恋』(15)は、

現代からタイムスリップしてきた女の子が、

王様と一緒に様々なものを発明し、

後に発明家のチャン・ヨンシルとして知られるようになる

というファンタジーでしたが、

08年の『大王世宗』や16年の『チャン・ヨンシル』では、

現実的な歴史に沿った形で王と臣下との関係が描かれています。


ソン・スンホン主演の『Dr. JIN〈完全版〉』(12)では、

朝鮮時代末期の実力者である興宣大院君が

未来からやってきたジン・ヒョクと出会ったことで自信をつけ、

息子を王にする決意を固めていくという設定で、

歴史にジンがかかわったことになっていました。

一方、正統派大河ドラマ『明成皇后』(01)には、

皇后と対立する怖い舅として、興宣大院君が登場します。

 

実在の人物がファンタジーの世界に登場するドラマは、

「一体、どんな風に描いているんだろう?」と

視聴者の興味をかきたてますが、

実在の人物ゆえのリスクもあります。

たとえば、元の皇帝に嫁いだ女性が主人公の『奇皇后』(13)の場合、

奇皇后のロマンスの相手が、

最初はドラマの設定的に、

実在した高麗第28代王・忠恵王だったのですが、

この王様が歴史的には極悪非道な人物として知られていたため

「美化すべきでない」という批判が起こり、

実際にドラマになった時は架空の王という設定に変わりました。

 

不滅の恋人』も、

第7代王世祖のスヤン大君と弟のアンピョン君を
モチーフに描いているものの
あくまでもモデルなので、
この恋の行方がどうなって
男二人の行く末がどうなるのかは
自由に作ることができますね。

いくらドラマだといってもこだわる人はこだわるので、

どこまでをファンタジーにして物語を作っていくのかが

難しいところでもあるけれど、

実在人物だと何歳で亡くなったかがわかっているので

その人生が短ければ、

どうしてももの悲しさが付きまといますね。

 

しかし、こうしてみてくると

ファンタジー系の時代劇には若手のスター俳優が出演して

20、30話前後で終わるものが多いけど

正統派時代劇には

ザ・時代劇スターとでもいえる

重厚感あふれるおじさま俳優たちが大挙して登場し

50話は当たり前で100話前後続くものが多くなるのです。

 

 

 

関連記事:

ドラマ解説『太陽を抱く月

ドラマ解説『太王四神記

ドラマ解説『善徳女王

ドラマ解説『シンイー信義—

ドラマ解説『大風水

ドラマ解説『ポンダンポンダン 王様の恋

ドラマ解説『Dr. JIN〈完全版〉

ドラマ解説『不滅の恋人

 

 

2019年8月6日執筆