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『モーツァルト!』感想
先週末からの3日間、
韓国で上演中の『モーツァルト!』の動画配信があり、
画面はきれいだわ、日本語字幕はつくわ、
アップで見られるわで
そりゃあ生で音の波動を感じながら見るライブ感には及ばずとも
それを補なって余りある至福の時間を過ごせました。
実現までにはいろいろと
大変なことが多かったと思いますが、
関係者の皆さまに感謝いたします。
日本で大人気のジュンスがいてこその
企画実現だったと思いますが、
ジュンスだけでなく、
トリプルキャストバージョンを
それぞれ配信してくれたのが何とも嬉しく、
韓国ミュージカルファンの気持ちを
ちゃんとわかってるなあという感じ。
私は結局5回観ました。
物理的に5回目は同時間帯配信なので
どちらかを選ばねばならず、
3回券とジュンス回だけ1回買い足して、
その後ガンヒョンさん回が一部仕事とぶつかり
全部見られないことになったので
もう一回ガンヒョン回を買い足したので、
なんだ、ぴあとupの両方で
それぞれ3回券を買った方がよかったな
ということになりました(^-^;。
最後の配信は、1幕ガンヒョンさん、
2幕ウンテさんで見ても良かったしな~と
いろいろとあとから思ったりして。
今度そういう機会があるときは
そういうこともやってみよう~なんて思いました。
しかし、生の舞台だと観客が好きなところを選んで見られますが、
配信では映ったものを見ざるを得ないので、
いつもは気が付かないところにも目が行くので
いろんな発見がありますね。
三者三様のモーツァルトを堪能!
さて、本題、
3人バージョンを観た感想を。
まず、配信会社によって
画像や音声にも若干の違いが出るのだなという発見もあり、
また今回は3人バージョンで
カメラアングルがそれぞれ違うということもあり、
その見比べも面白かったです。
<ジュンス>
キャストでは、
ジュンスのモーツァルトを初めて観ましたが、
やっぱりジュンスの来し方と
1幕のモーツァルトの状況が重なるので
もう冷静では見られないというか、
ついつい
ジュンス=モーツァルト
として思えてしまい、
ジュンスが何をしても
もうモーツァルトにしか見えませんでした。
天真爛漫な無邪気さと、
なんともいえない愛嬌が魅力ですよね。
若気の至りだな~
とか
世界は自分中心で回ってるって思っちゃってるよね~
とか
あ~うかつすぎてだまされちゃうよね~
とか
わきが甘いな~
なんてことが、
さもあらんという感じで伝わってくる役作り。
ご本人自身はすごくストイックだそうなので、
彼の持つ生来の愛嬌が
こんな役作りを板につかせている感じを受けました。
で、ジュンスの歌唱は声に厚みがあるし、
独特の声と絞り出すような歌い方なので
好みがわかれる方でもありますが、
こういう切実なキャラクターをやると
その歌い方がすごくハマって胸に響くんですよね。
いつも一球入魂で魂から絞り出すような歌唱なので
見ている方も気楽には見られませんが
1幕ラストの「影を逃れて」や
2幕に入ってどんどん追い詰められていくさまは
特にどっぷりと引き込まれてしまいました。
まさに天才モーツァルトの苦悩と切なさを
見せつけられた感じです。
途中1幕でコンスタンツェと二人で話すシーンでは
「あなたは、ただあなたよ」と言ってもらえた時に
ジュンスの表情が、それまでにへらってしていたのが
「えっ?」ってなって固まるというか、変わるんです。
いつも
父親からもコロラド大司教からも
「天才モーツァルト」
「曲を作ってなんぼのモーツァルト」
と思われていて、
誰も自分のありのままを愛してくれないと
心の中で寂しさを抱えていたモーツァルトにとって
音楽なんてなくても「あなたはあなたよ」と言ってもらえて
きっとすごく心に響いただろうなと
思うので、
そこを演技でしっかりと表現していて、
彼の表情から、
普段はノー天気そうに明るく振る舞っているモーツァルトの
孤独に気が付ける、グッとくるシーンになっていました。
2幕のラストで
一心不乱にアマデと向かい合って作曲に没頭していく時の
鬼気迫った目つきもすごかったし
まあ、とにかくすごく良かったです。
<パク・ウンテ>
次に観たパク・ウンテさんバージョン。
ジュンスとは対照的に
すーっと耳に入ってくるハイトーンで繊細な歌声です。
ただ、それだけにモーツァルトの人生の雑味を表現するには
きれいすぎてしまうと感じちゃいました。
なまじジュンスを見たあとだったからよけいに。
そして
さすがにウンテさんは品がよく賢そうに見えてしまうというか、
とても道を踏み外しそうな
放蕩息子には見えなかったのですが(^-^;
2幕で父親が亡くなった後におかしくなるところとか、
ラストの、
すべてを絞り出して
燃え尽きて茫然自失になった表情がもう圧巻で、
ズキンと胸を打ちました。
その他にも、お母さんが亡くなった時、
母親を全身で抱きとめるのですが、
母親の身体の冷たさを身をもって感じて
死を確信した瞬間がよくわかる演技で、
まさに、
「ろうそくの火が消えるように亡くなってしまった~」
と歌詞に表わされている思いが
しっかりと伝わってきました
そういう一つ一つが細かく表現されていました。
さすがベテラン!
<パク・ガンヒョン>
で、パク・ガンヒョンさんは
一番耳に入ってきやすいトーンとクリアさで
伸びやかな心地よい歌声でした。
しかし、きっとこの収録の日は
のどが本調子ではなかったような気がしました。
1幕最後も、
きっと本来はもっと声を伸ばし切って終わるんじゃないかな
というところも
早めに歌い終わってましたから(^-^;。
年齢的にはピッタリで、
あまり深く考えていない
世間知らずの天才青年という感じも
一番出ていました。
歌い方は自在に声が出る印象で、
とっても余裕を感じさせていましたが、
でもまだ
歌って演じるのに精いっぱいなところがあるんだろうな
と思いましたが、
その初々しさが魅力でもありますね。
モーツァルトという役は
歌声がきれいすぎるより、
K-pop魂のような
特徴がある人の方が似合うのかなあと
個人的には思いました。
<作品について>
作品自体の感想として、
2014年にパク・ヒョシンで観たときの、
1幕ラストの歌い終わりで
舞台奥に飛び込んでいく終わり方が
すごく好きだったので、
今回もその演出家さんの演出でしたので
すこし坂の傾斜は足りなかったけど(苦笑)、
飛び上がって消えていくシルエットが同じで嬉しかったです。
全般にセットはスッキリというか、
少し物足りないくらいでしたが、
こんなものでしたっけ?
なにせ全体を見られていないので何とも言えませんが。
なんと切ない人生なのか…
内容に関しては、
このミュージカルでは、
モーツァルトは
才能も、成功も、愛も全部試してみたけど
求めていたものとは違っていた。
結局は「幸福」を求めていたのに
それは最後まで手に入れることはできなかった~
という描き方をされています。
最後に
「王子は王になったけど僕は何を得たんだろう~
黄金の星を探し回って
その光に焼き尽くされた」
と言いながら
1幕で軽やかに天真爛漫に歌っていた
「僕は音楽」という歌を
ラストでは
ボロボロになった身体で絞り出すように歌うのが
何ともアイロニーで切なすぎる。
全てを捧げたにもかかわらず
天才作曲家という名声だけを残して
虚しい人生と感じながら
亡くなってしまうなんて…。
じゃあいったい彼はどうすればよかったのか?
天才というものは本当に周りが放っておかないし、
利用もされるし、
自分の生きたいようには生きられず、
天真爛漫で楽しく過ごさせてあげたかったけど、
それでもそんなモーツァルト自身こそが、
良いメロディーが浮かぶと
すべてが吹っ飛んで集中してしまうほど
天才の性(サガ)から逃れられなかったんだなあと
つくづく思わせられる重く切ない人生でした(涙)
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2020年8月14日執筆