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『青春の罠』は、韓国の大御所脚本家で、“言葉の魔術師”といわれるキム・スヒョン作家の、視聴率５０％を叩き出した大ヒット作です。

ただひとすじに愛する男（イ・ジョンウォン）に尽くしてきた女（シム・ウナ）。でも男は貧しさから抜け出したいと願い、彼女を捨て、目の前に現れた輝かんばかりの条件を持つ金持ちの令嬢（ユ・ホジョン）との結婚を決意します。子供までなした男のひどい裏切りにあい、絶望のどん底に突き落とされた女は男への復讐を誓い、令嬢の兄で、自分の上司である遊び人と評判の高い男（チョン・グァンリョル）からの好意に応えようとするのでした。

男は野望のために、女は復讐のために始めた愛でしたが、不埒と呼ばれていた上司の中に誠実を見たとき、利用しようとした女の愛は本当の愛へと昇華していきます。

複雑な家庭環境で、生い立ちに傷を抱えた人物たちが織り成す、切実な愛、切実な人生、究極の哀しみが、味のあるセリフで綴られていく、文学的で、深く酔わされるメロドラマです。

シム・ウナの最高傑作との呼び声高い名作で、端正ではかなげな、古典的美しさが秀でています。大切なものを失った悲しみ、復讐に燃える能面のような表情、そして利用しようとした男を愛し始めて流すひとすじの涙と、どの場面もすばらしく、神がかりの演技と評されて、ＳＢＳ演技大賞の大賞に輝きました。

また『ホ・ジュン』『朱蒙』などのチョン・グァンリョルが演じた、放蕩者の屈折した御曹子がヒロインに示す、一見オチャラケの中にのぞく切実な愛が胸を締め付けます。チョン・グァンリョルはこの作品で一躍注目の存在となり、『ホ・ジュン』への抜擢につながりました。今見ると、化粧やファッションなどの映像的な古さは否めませんが、それを補って余りある傑作だと思います。

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