ドラマ解説

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タイトル 愛する人よ
韓国放送年 2007年 全20話
演出 チョン・セホ 他
脚本 チェ・ユンジョン
出演 キム・ドンワン ハン・ウンジョン ファン・ジョンウム チョ・ドンヒョク

【 ドラマ紹介 】

『愛する人よ』は、SHINWHAのキム・ドンワンと、『ソウル1945』のハン・ウンジョン主演の、野望に取り付かれてしまった男がたどる愛憎のドラマです。

同棲中の女性とのあいだに子供が生まれ、いい夫、いい父親になるはずだった男の前に上司として現れた会長の息子。彼の存在は男の劣等感を刺激し、秘めていた男の野望に火をつけます。そんな男に情熱的に迫ってきたのが会長の娘。彼女の存在は、貧しく育ち、後ろ盾を持たない男には拒むことの出来ない誘惑でした。一方、幸せの絶頂で別れを告げられ奈落の底に突き落とされた女は、男を奪った女の兄から愛を注がれます。

不朽の名作『青春の罠』のチョン・セホ監督の作品で、子供がいる内縁関係の男女が金持ちの兄妹とそれぞれ恋愛関係になっていくというドラマの骨格は、『青春の罠』を彷彿とさせますが、『愛する人よ』は、親のいない5人兄弟の愛と葛藤、金持ち一家の愛憎の古傷にも丁寧に触れていくなど『青春の罠』とはしっかり差別化を図っており、チョン・セホ監督が再び挑んだ愛憎のドラマとなっています。

キム・ドンワンが野望のために非情に生きる男に扮して、生い立ちへの劣等感や成功へのたぎる欲望、捨てた女や子供への罪悪感といった複雑な感情の入り乱れる汚れ役を見事に演じ、演技の幅を広げたと高く評価されました。

利己的な人物たちの姿には見ていて腹が立ちますが、走り出して止められなくなっていく主人公たちの暴走ともいえる執着があまりにも切実で、哀れさすら感じてしまいます。

ドラマを見て感じるのは、野望の前に愛ははかなく、持てる者は惜しげもなく財を捨て愛を選んでいくのだということです。

緊張感のある愛の世界は、ザ・メロドラマでもあり、恨(ハン)をほどけずにもがき苦しむ人々の姿が印象的で、雰囲気のある音楽もあいまって、なんだか、からめとられるように引き込まれしまう作品です。

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