ドラマ解説

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強力おすすめ

タイトル このろくでなしの愛
韓国放送年 2005年 全15話
演出 キム・ギュテ
脚本 イ・ギョンヒ
出演 チョン・ジフン(RAIN) シン・ミナ キム・サラン イ・ギウ キム・ヨンジェ

【 ドラマ紹介 】

『このろくでなしの愛』は、『サンドゥ学校へ行こう』『ごめん、愛してる』『ありがとうございます』を手がけた人気作家イ・ギョンヒがつむぎ出す、残酷で美しい究極の愛の物語。RAINことチョン・ジフンの、やるせなさが全身からほとばしる演技に胸が締め付けられる作品です。

主人公は、孤児として育ち、狂犬のように恐れられている男(RAIN)と愛を失ったスター女優(シン・ミナ)。たった一人の兄(キム・ヨンジェ)が飛び降りたのは、彼女のせいだと思った男は、兄の復讐を胸に誓い、ボディーガードとなって女に近づきます。

兄の敵だと思った女。おとしめてやりたいと思った女。彼女をおとしめれば終わりのはずだったのに…あまりにも純粋な彼女の涙が、愛らしい微笑みが、男の心を苦しめてます。ああ、これをドラマチックといわずして何をいう。

純粋なヒロインを演じたシン・ミナの、大きな瞳の愛くるしさが返って切なさを誘うが、このドラマはなんといってもRAINがものすごくいいです。『フルハウス』がRAINのかわいさ全開だったとしたら、『このろくでなしの愛』では、彼の孤独なストイックさや企みごとを秘めた危険な魅力が満載です。兄の元恋人に惹かれまいと必死に感情を押し殺しながら復讐に突き進んで行く、悲しくも優しいRAINの号泣場面や愛してはいけない人を切なく抱きしめる姿が、もうそれはそれは痛々しく胸に刺さります。

その生い立ちから来るものなのか、苦労人だからなのか、RAINはやっぱり太陽の輝きよりも月光のゆらめき、陽射しよりも雨、といった哀しみのトーンがよく似合います。やるせなく、痛々しく、歯を食いしばっている感じがいいのです。だいたいRAINがストイックなボディーガードに扮しているという時点でもうたまらない。そんな彼がヒロインを守る場面はどれもツボです。

とにかく、全編に漂っているのは、すべてを投げ打ってしまえる、失ったらすべて崩れてしまう、運命とも魂とも言い換えられる究極の愛。特に最終回が一編の詩のようにも感じられ、本当に愛のために心が粉々になってしまった2人だったなあ…、それほどまでに心を捉えて離さない愛だったのだなあ…ということがすごく伝わってくる終わり方で、テレビの前で思わず号泣してしまいました。これまで見たドラマの中のおそらく10本の中に入るお気に入りのラストシーンです。

日常生活に支障をきたすほどドラマにのめりこんでしまう熱狂的なファンのことを韓国ではペイン、日本語で廃人と言いますが、これは「廃人」度数の高いドラマで、この作品の、残酷で悲しい、暗いけれども究極のドラマチックラブの悲劇性が大好きな私はとてつもなくはまりました。ただし、私のようにものすごく良かったという人と暗くてつらかったという人とに分かれる作品でもあります。

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