韓流ソムリエ 田代親世の韓国エンタメナビゲート

『アントラージュ』は、今が旬の若手スターと彼の取り巻きたちを軸に、芸能界の内幕を描いていくドラマです。
原作は、アメリカで第8シーズンまで放送された人気シリーズドラマの世界初のリメイク作品です。タイトルの「アントラージュ」とは、取り巻き、側近という意味なのですが、ドラマは、注目の若手スターのチャ・ヨンビンと彼の取り巻きの仲間たち、事務所の代表との関係を描きながら、リアルな芸能人のライフスタイルを見せていきます。

ヨンビン（ソ・ガンジュン）の幼なじみでマネージャーのホジン（パク・ジョンミン）。昔アイドルだったものの、今は売れない俳優のヨンビンの従兄弟のジュン（イ・グァンス）。そして彼らの学生時代からの仲間でフリーターのコブク（イ・ドンフィ）。彼ら4人は豪邸に一緒に住んで、遊ぶ時も仕事に行くときもいつも一緒。そんな彼らを束ねるのが、ヨンビンの所属事務所の辣腕キム社長（チョ・ジヌン）です。

「芸能界を自らディスった（皮肉った、卑下した）」と標榜しているだけに、スター同士、事務所どうしの神経戦や恋愛事情、契約事情、独立問題などなど、芸能界の裏側が赤裸々に描かれていて、なんだか彼らの生態をのぞき見しているようなドキドキ感があります。

プサン映画祭から幕を開け、クラブにパーティーといった華やかな場面もふんだんに登場。またカン・ハヌル、ムン・グニョン、ハ・ジョンウ、ソン・ジヒョなど、すごい顔ぶれのスターたちがカメオ出演するだけでなく、キャスティングや噂話の中に俳優たちの実名がバンバン出てくるのがやたら生々しくて面白いです。

実際もいま注目のライジングスターのソ・ガンジュンが演じている俳優のヨンビンは、義理堅くて仲間を大事にする気持ちの良いキャラクターですが、こだわりが強くて感情に左右されやすいので少々扱いにくいんです。そんなヨンビンを身体を張って守っているのに、気持ちがすれ違っていく社長との関係性や、まじめなマネージャーとは親友だからこそ衝突してしまうという絆の揺らぎ。これを見ると親の心子知らずじゃないですが、マネージャーの心、俳優知らずだなぁと思いますし、俳優って本当に繊細で、感情のままに動いてめんどうくさい生き物だなと思ってしまいます（笑）。

事務所の辣腕社長を演じたチョ・ジヌンが、『シグナル』に続いてここでもものすごくいいです。口の悪い強引なワンマン社長ですが、チョ・ジヌンが演じるとすごく情がわく愛すべき人物になるんですね。とにかく、男たちの濃い結びつきが心地いいドラマです。

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