スター列伝・スターコラム

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略歴

ペ・ドゥナ

 とらえどころのない不思議な魅力を放つ新世代タレント。くるくる変わる顔の表情と、どこを見ているかわからない眼、時にはふてくされたように閉じられる口元に独特な声と、かわいいんだかかわいくないんだかよくわからない、とってもキャラが立っている人である。

171㎝のスラリとしたプロポーションの持ち主で、街を歩いているときファッションブランド「クールドック」の広報の人からモデルにならないかとスカウトされたそうだ。98年にこの「クールドッグ」のカタログでデビューし、以後は各種ファッションカタログ、雑誌、CFで活躍し、ドラマの世界に。放送デビューは99年、KBSドラマの『学校』。

学校に適応できない生徒役を担い、同世代の10代からの人気が沸騰する。「10代のジャン(最高の意味)」と呼ばれるようになったほどだ。最初それほど出番は多くない予定だったらしいが、すごい人気ぶりに出番がどんどん増えていったのだそうだ。

そして日本と韓国で同時製作する事で話題になった映画『リング』にも、日本でいうところの貞子の役で出演した。日本の『リング』に比べるとあんまり恐くないが、ペ・ドゥナの独特の雰囲気は貞子にぴったりだったかも。

お母さんが舞台女優だったということで、「芝居のテクニックよりもまず本能を呼び覚ましなさい」とアドバイスされているそうだ。

MBCミュージックキャンプやSBSラジオでMCとしても活躍していたが、演技に魅力を覚え、映画『吠える犬は噛まない』に出演するために全てを降りて演技に集中した。

この、犬をめぐって起こる人間模様を描いたシニカルコメディー作品で、ペ・ドゥナは純粋で正義感が強い団地の管理事務所の職員に扮し、いなくなった犬を一生懸命探していく姿がコミカルな笑いを誘っていた。監督からもそのままでイメージ通りだから、変に演技しなくていいと言われたそうだが、その通り、この映画の中のキャラクターが地に近いペ・ドゥナなのだろう。

これで青龍賞の新人賞を獲得した。でもこれだけを見た人には「ペ・ドゥナってかわいいか?」と思われるかもしれない。事実この映画の中ではずっとさえない格好をしているから(笑)。

しかし、2000年の10月に公開された映画『プライベートレッスン青い体験』では今までになく女性らしさを全面に出し、ベッドシーンまで演じて、あのペ・ドゥナが…と話題になった。まあ全然セクシーには感じないのだが(笑)、それにしても男優とのきわどい絡みを演じていて、気合いの入りようは伝わってくる。でも保守的な韓国で今をときめくアイドルがいくら映画とはいえヌードでラブシーンを演じるというのだから、かなり思い切った選択であったことは確かだ。

このヌード演技に挑戦した心境に関しては「メロドラマのできない俳優は長続きできないといつも思っていたから、それが私の限界なら嫌だと思ったんです」とテレビのインタビューで語っていたが、自分なりに大人の女優への転換を果敢に図った結果だったわけだ。まあセクシーではないけれど、この映画でのペ・ドゥナは女らしくてかわいい。それまでの中性的だった固さが取れて、存在全体からフェミニンな香りが漂ってくる。

その後も才気ある監督たちからのラブコールが絶えず、『JSA』のパク・チャヌク監督の『復讐者に憐れみを』では、世の中への不平分子として少女誘拐を企てる女性を演じ、『猫をお願い』では、将来におぼろげな不安を持つ社会に出たての少女を好演した。ドラマにしろ映画にしろ、役の大小にかかわらず演技の勉強になるならと果敢に引き受ける姿勢が頼もしい。

 

※2004年7月発刊「韓国はドラマチック2」(東洋経済新報社)より
記事の転載はご遠慮ください

 

略 歴

1979年生まれ。171センチのすらりとした体型の持ち主で、街を歩いているときにファッションブランドの人にスカウトされ、カタログモデルでデビューしました。
雑誌、CMなどで活躍し、99年に『学校』というドラマで演技者の道に入りました。この作品では学校に適応できない生徒役を演じ、10代からの人気が沸騰。そして同年リメイク映画『リング』で、日本で言うところの貞子の役で映画デビューを飾りました。
2000年には『吠える犬は噛まない』で青龍映画賞新人女優賞を獲得。続く2001年の『子猫をお願い』では各種映画賞で主演女優賞を獲得しています。
とらえどころのない独特な存在感と演技に打ち込む情熱が愛されて、才気ある監督たちからのラブコールが絶えない女優です。
『威風堂々な彼女』や『ローズマリー』といったドラマを始め、日本映画の『リンダ リンダ リンダ』にも出演するなど、映画にドラマにと大活躍中です。
最新作は『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督の『怪物』が待機中です。(2005年10月)