スター列伝・スターコラム

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略歴

ミョン・セビン

  妹的なキャラクターがはまる清純派の代表選手。野に咲くひなげしの花のようなイメージで、男の人が守ってあげたいと思う女性像である。名前は本名で、明るい世の中、光る空という意味で、まさに名は体を表している。

芸能界入りのきっかけが面白い。歌手シン・スンフンのミュージック・ビデオ「僕だけの愛」で、マンボのリズムを取りながら可愛らしく微笑んでいる姿を見て、なんだか妙に素人っぽいなと思っていたのだが、何とこの時点ではまだ素人さんだったのである。服飾デザイナーを目指して大学に通っていた頃、買い物途中でシン・スンフンを見かけ、友人と一緒にサインをもらいにいったところ、シン・スンフンと一緒にいたMVの監督から、「今度のMVに出演してくれませんか?」と口説かれたそうだ。いやあ、サインはもらいに行ってみるものである。こうしてMVに出たのがきっかけであちこちの雑誌モデルをつとめるようになり、CFにも出演することになるのだが、このCFがまた衝撃的だった。クラウンチョコハイムのCFで、なんとミョン・セビンは頭を丸坊主にして出演したのだ。ちなみにCFの内容は、ミョン・セビンが白血病の治療の為に髪が抜けてしまい悲しげに窓の外を眺めていると、遠くから友人が同じ丸坊主頭で現れてお互いにほほえみを浮かべるという、日本でも映画や舞台になった『友情』をモチーフにしたもので、視聴者に強いインパクトを与えた。

演技デビューとなったのは映画『男の香り』。この映画の公開オーディションで、映画のためにかわいい子供っぽいイメージを拭い去るため八重歯を抜いてみせるという根性を発揮して競争を勝ち抜いた。柔らかな外見の中にも強い意志と根性が備わっているのだ。この『男の香り』ではキム・スンウ演じる主人公の永遠の大切な人を演じ、切ない恋物語のヒロインとして堂々の映画デビューを果たした。この映画の経験で演技の世界の魅力を初めて感じ、芸能人としてやっていこうと思ったという。その後はドラマ『純粋』では、リュ・シウォンとハン・ジェソクの2人から愛されて葛藤を繰り広げる役を、『折り鶴』では、裕福な家庭に育ちながらも突然の父の死で没落した家のために学業を諦めて働くようになる中で、リュ・シウォンと出会って愛を交わすヒロインを演じ、清純派イメージを定着させた。健気に頑張っていく感じがまさに純情漫画のヒロイン的である。映画『北京飯店』ではキム・ソックンと共演しているが、見た感じがまさに優等生コンビで、なんだか画面が清々しい。美人というより、ほのかな女性らしさの漂うかわいらしさが魅力的な女性だ。99年の『ゴースト』では、ここでも、チャン・ドンゴンとキム・ミンジョンといういい男2人に思われる女性役。一人二役で、しっとり美人と活発なフリーライターを演じ分けていたが、悪霊が乗り移ったときの顔の豹変ぶりが怖くて、この人、案外小悪魔的な役も合うなあと思っていた。そこで2000年、小悪魔までは行かないが、高飛車で勝ち気な金持ちのお嬢様役に挑戦したのが、MBCドラマ『お熱いのがお好き』だ。自分でもいつまでも純情スターでは女優として限界があると感じたのだろう。髪を茶色に染め、肌の露出の高い服を着、セクシー派に雰囲気をがらっと変えての登場。しかも、ビキニ姿まで披露したのである。このビキニ姿、けっこう胸があったために彼女を聖女とあがめていた男性ファンには少なからずショックを与えたらしい。聖女でいるのもいろいろ難しいようだ(笑)。

 

※2001年4月発行「韓国エンターテイメント三昧vol.2」(芳賀書店)より
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略 歴

ミョン・セビンは1976年生まれ。
大学時代、偶然見かけた歌手シン・スンフンにサインをもらいにいったところ、一緒にいたミュージックビデオの監督から「今度のミュージックビデオに出てくれませんか」と口説かれて出演したのがきっかけで、あちこちの雑誌モデルやCMモデルを務めるようになりました。
演技者デビューとなったのは98年の『男の香り』で、この映画の公開オーディションのために、子供っぽいイメージを拭い去るために八重歯を抜いて見せた根性が認められ、ヒロインに抜擢されました。続いて、ドラマでも『純粋』『折鶴』という作品で、リュ・シウォンの相手役を務めるなど、男性が守ってあげたいと思う、野に咲くひなげしの花のようなイメージで、清純派の代表選手として活躍していました。
その後次第に役の幅を広げていき、最近では、『結婚したい女たち』で、結婚したいとあせる元気いっぱいのキャリアウーマン役で、恥じらいを吹っ飛ばしたような破格の演技変身を見せ、話題になりました。
(2005年8月)