スター列伝・スターコラム

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略歴

ソン・スンホン

コラム① 眉のりりしい正統派ハンサムスター

『秋の童話』のお兄ちゃんでおなじみのソン・スンホン。端正な顔立ちにくっきりと濃い眉毛がトレードマークだ。

ファッションブランド「ストーム」のカタログモデルでデビュー。偶然このカタログがMBCテレビのプロデューサーの目に留まり『男女6人恋物語』でまじめな大学生の役でドラマデビュー。1996年10月のことだった。

すっきりしたハンサム顔だが、ドラマの演出家などからは「平凡で印象が薄いのでオーディション向きではない顔だ」と評されていた時期があるそうだ。

しかしハンサムと平凡は紙一重、しっかり人気が出て、その後もSBSドラマ『美しい彼女』で、イ・ビョンホン演じる先輩ボクサーと対立するアマチュアボクサー役で、『あなたそして私』では大家族の中の3男坊の役で、順調にドラマに登場。

この『あなたそして私』では、腹違いという出生にコンプレックスを持つ口数の少ない末っ子役で、再会した母親を深く思うナイーブな青年の演技が女性達の母性本能を大いにくすぐり、一気にお茶の間の人気を集め新世代のトップスターとして急浮上した。

そんな彼の映画デビュー作は『ホワイトクリスマス 恋しくて会いたくて(原題:カラ)』。キム・ヒソン、キム・ヒョンジュとの共演だ。寄せられる数十本ものシナリオの中から選んだ理由は「単純なメロドラマを飛び越える時間設定が気に入ったから」とのこと。制作サイドのごたごたで完成が遅れたが、1999年秋やっと公開になった。

確かに本人がいうように、タイムスリップもののファンタジー映画だが、見ているものを心地よく裏切ってくれる展開で、見終わったあとにさわやかさが残る作品だった。スンホンも等身大の普通の好青年を演じていてよかった。

というのも、端正な中にも反抗心が見え隠れする顔をしているせいか、「かげりのある、優秀で冷たい人物」を演じることが多かったのだ。

ドラマ『Happy together』は、まさにそれ。貧乏な生活から猛勉してはい上がってきた影のある検事役で、約束された将来のために長く付き合ってきた恋人と別れて金持ちの娘との結婚を決意するが…、という役どころ。スーツ姿にオールバックの髪型。きりりとした眉に涼しげな目元。そんな彼が眉間にしわを寄せて恋に悩む姿はそれはそれはかっこよかった。

ボディービルが趣味というだけあって、ドラマの中でプールで泳ぐシーンでは、薄い顔なのに厚い胸板で思わずどっきりしてしまった。スンホンの格好良さがいっぱい詰まった作品でおすすめ。

ところでこのドラマで義理の兄役のイ・ビョンホンに憎しみを抱く役回りだが、実生活では大の仲良し。『美しい彼女』にスンホンが出たときに、ビョンホンがいろいろと面倒を見てくれたそうで、それ以来の‘ヒョン(兄貴)’‘トンセン(弟)’の間柄だそうだ。

『秋の童話』のおかげでアジア各国で大人気、香港映画『クローサー』にもチョイ役だが出演している。

2003年には『秋の童話』のユン・ソクホ監督の新作ドラマ『夏の香り』に再登板。髪を茶色く染め、ゆるいパーマをかけるというイメチェンをして臨んでいる。

2004年は映画『氷雨』でスタートを切った。雄大な雪山を舞台に、先輩スター、イ・ソンジェとキム・ハヌルを挟んでメロドラマを繰り広げる青年を好演していた。

映画ではまだこれといったヒット作が出ていないのが歯がゆいところだが、麗しい美青年からどんどん男っぽい魅力が増してきているので、この先楽しみである。

※2004年7月発刊「韓国はドラマチック2」(東洋経済新報社)より
記事の転載はご遠慮ください

 

コラム②ソン・スンホン 釘付けになる美青年

数々の韓流美男子を見てきたけれど、パッと目が釘付けになる美男といえば、やはりソン・スンホンだ。
いまや正統派美男子として日本でも大人気。
兵役から戻って、その男っぷりもさらに上がったが、初めて会ったときから、その紅顔の美青年ぶりは目を引いた。
最初にソン・スンホンを間近で見たのは、2004年2月のイ・ビョンホンのファンイベントに、彼がゲスト出演したときだった。
日本からソウルに駆けつけた生粋のイ・ビョンホンファン350人の前に登場したのだが、あまりの清潔な美しさに、会場は、思わず、われを忘れて「キャーッ!」となった。
次の瞬間、「あっ、私たちイ・ビョンホンのファンだった……」と思い出したのか、声をあげすぎちゃったかしら……という空気が漂ったのがおかしかったけれど、でもそれほど美しかったのだ。
そのとき、「僕もいつかこのようなファンイベントが開けたら、うれしいです」と語っていたのだが、それがその年の六月に済州島で実現した。

単独で、日本のファンの前に登場するのは正式には初めてだっただけに、期待や緊張もあったのだろう。始まる前には大きく深呼吸していたし、直前にトイレにも行っていて、開演が少し遅れたくらいだ。

お客さんも待ってました、とばかりに熱気も熱い。
そして現れたソン・スンホンの美しいこと。
司会の私も思わずジーッと見入ってしまうほど惚れ惚れする伊達男だ。
清廉、誠実というのを身体で表したような眉目秀麗な好青年だった。

実は本番前に、スンホンのマネージャーから、「アドリブは苦手なので、急に何かやらせるのは絶対にやめて、とにかく台本どおりにやってください」と頼まれた。やっぱり、そのへんは不器用そうだ。でもそれがかえって実直さをかもし出していいんだけど。
そして、直前にご挨拶をしたら、「よろしくお願いします!」と、本当にお願いしますね、という懇願モードで、両手で握手された。
思わず「任せてください!」と胸を叩きたくなったが、そこまでの自信がなかったので、控え目に返事をしたのであった。

ところで、台本には「紙飛行機を作って飛ばす」というコーナーがあった。

これは紙にスターへの質問を書いて、それを飛行機にしてステージに飛ばし、スターが拾ったものを読むというものなのだが、一生懸命にファンが書いたものがそのへんに飛んで踏まれてしまうのも気分よくないし、だからといって受けがいいわけでもない。なので、やめませんか? と提案し、それが通ってホッとしていたのだが、

リハーサルでスタッフが飛んできて、「ソン・スンホンが飛行機やりたいそうです!」と言う。「ええっ!」「初めてだから興味あるのかしら…?」と思いながらも結局、飛行機は復活した。
そしてもうひとつびっくりしたのは、急遽、歌手のチョ・ソンモがサプライズゲストで歌うという。これにも「ええっ!」。今朝までそんなことになってなかったのに……。
でもさっきソウルから飛行機に乗ったらしいと聞かされ、「イベントのどの時点になるかわからないけど、とにかく到着したら出てもらうから、よろしく」ということになった。
やはり韓国だ。主催者は呼んでなかったと思うのだが……。
これぞ本当のサプライズゲストだ。でもソン・スンホンとチョ・ソンモは同じ事務所で、本当に仲がいいみたいで、「遊びがてら行くよ!」ってことになったのかもしれない。
あくまでも想像だけど。

2009年1月発行「恋する韓流」(朝日新聞出版より)
※記事の転載はご遠慮ください

 

 

 

略 歴

1976年生まれ。95年、ファッションブランド「ストーム」のカタログモデルで芸能界入りし、偶然このカタログがMBCテレビのプロデューサーの目に留まって96年、『男女6人恋物語』のまじめな大学生の役でドラマデビューしました。

その後97年の『あなた、そして私』では大家族の中で腹違いという出生にコンプレックスを持つ口数の少ない末っ子役で、再会した母親を深く思うナイーブな青年の演技が女性達の母性本能を大いにくすぐりました。これで一気にお茶の間の人気を集め新世代のトップスターとして急浮上しました。

くっきり、はっきりとした太い眉毛に精悍な顔立ち。思わず‘美しい’と表現してしまういい男。ユン・ソクホ監督のお気に入りで、『秋の童話』では血のつながらない妹を愛する、哀しくも切ない愛に身を焦がす優しい兄を演じ、アジア中で人気を集めました。『夏の香り』でも再びユン監督作品に登板。一段とかっこよくなり、愁いを帯びた瞳で愛する女性を見つめる、気骨ある青年役で魅力をアピールしました。ファンイベントでお会いしたことがありますが、実物も誠実を絵に書いたような爽やかな好青年で、かっこいいのに、謙虚で、清潔感があって、かっこよさを鼻に掛けていないところが好感度大でした。

しかし、なんと、2004年、ドラマ『悲しき恋歌』のクランクインを前にして兵役拒否が発覚し、ドラマを降板。過ちを犯してしまったとはいえ、その後の対応の仕方が潔かったのが救いで、しっかり兵役を済ませた後はドラマ『エデンの東』で男っぽい男の生きざまを演じ切り、花美男から大人の男に変化した魅力をみせました。

2011年の『マイ・プリンセス』では、キム・テヒとの美男美女っぷりがハンパなく、涼しい顔で自慢を語る‘うぬぼれ語録’にも大いに笑わせられて、ソン・スンホンの麗しい魅力が炸裂していました。

そんな彼の映画デビュー作は遡って99年の『ホワイトクリスマス 恋しくて会いたくて』。その後も『氷雨』『あいつはかっこよかった』などに出演しているものの、ドラマに比べて映画ではこれといったヒット作に回り逢えていませんでした。兵役を終えてすぐに出たのが映画の『宿命』。その後も『男たちの挽歌』と、男っぽい役柄に惹かれる時期だったのか裏社会を舞台にした作品への出演が続きました。『ゴースト:もう一度抱きしめたい』では日本映画にも出演。2014年『人間中毒』では部下の妻との不倫愛に身を投じる将校を演じてセクシャルなシーンにも挑戦しました。また2015年の『ミスワイフ』では、愛妻家で子煩悩の公務員というこれまでにない役柄を楽しそうに演じるなど、役の幅を広げています。2015年、イ・ジェハン監督がメガホンを取った中国映画『第3の愛』で共演した中国女優リウ・イーフェイと交際が発覚し世間を驚かせました。イ・ヨンエと共演のドラマ『師任堂(サイムダン)、色の日記』では、ヒロインを一途に愛する朝鮮時代の画家に扮しています。


ソン・スンホンの個人的おすすめ作品
※『秋の童話』
このときは正直ウォンビン派でしたが、ドラマとしてしみじみと切ない気持ちにさせてくれる定番の名作です。

※『夏の香り』
ソン・スンホンの二の腕のたくましさにくぎ付け。愁いを帯びた紅顔の美青年ぶりが素敵です。

※『マイ・プリンセス』
パーフェクト・ガイに扮しているのですべてが麗しく、作品としても華やかで切なくて満足度の高い一本。

※『男が愛する時』
抑えた大人の男の魅力が炸裂。個人的にソン・スンホン史上最も魅力的に見えた作品。

※『情愛中毒』
香り立つような雰囲気がある作品で、まじめだった主人公がからめとられるように情愛に溺れてしまうさまが狂おしく切ないです。