取材レポ・コラム

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プレスツアーで、ソウル芸術大学へ

11月は韓国の国際文化産業交流財団主催の取材ツアーに参加して、
5泊6日の日程でソウルと済州道を駆け足で取材しました。

今回のツアー日程の中で、
とっても楽しみにしていた訪問場所が、ソウル芸術大学でした。

ここは、アン・ジェウクやチョン・ドヨン、チェ・ミンスなどなど、
錚々たるスターたちを輩出した学校です。
2001年に移転したということで、
我々は、ソウル市内から車で1時間くらいの
アンサン市の校舎を訪ねました。

大韓民国建築大賞を受賞したという美しい校舎がそびえ、
またキャンパス全体が舞台のようになっていて、
いつでもどこでもパフォーマンスができるようになっています。
俳優だけでなく、デザインや美術、
音楽の人材育成にも力を入れているそうです。

「なぜこんなに多くのスターを輩出できたのか?」という問いに

教授たちは、

「産業と学校がもっと親密になれるようにという
‘産学協同’ の姿勢が大きいのでは」

と言ってました。
教師陣も、学問的よりも現場で活躍している人が多く、
また一流のプロを特別講師に招き、
実際の創作活動を授業で行っていく。
理論よりも90%以上を実習に当てているのだそうです。

卒業生との関係も深く、
特別講義として頻繁に卒業生に経験を語ってもらったりすることを通して、
後輩とのコネクションを結んでもらったりしているそうです。
そういえば、『19歳の純情』に出ているソ・ジソクも
ここの卒業生なんですが、映画デビュー『弓』のきっかけが、
特別講師で来ていたキム・ギドク監督に
果敢に質問したことが監督の印象に残った…というのが
縁の始まりだったそうですから、まさに‘産学協同’の成果ですね。

私たちが訪ねたこの日も、
夜8時から俳優のチョン・ジェヨンが講演することになってました。

ここを出ればスターになれると思われているだけに、
当然、競争率も高いわけです。
人気のある演技科は80倍、
実用音楽科のボーカル専攻にいたってはなんと300倍だそうです。

入学基準は、修能試験(日本でいうセンター試験)が30%に、
内申書が30%、そして実技が40%だそうです。
14ある学科でそれぞれ合格基準は違うそうですが、

演技科は実技がとても重要で、
とくにセリフを読ませたり即興で話をさせたりするスピーチ力、
発声、歌やダンスなどの動き、タレント性を見るそうです。
レベルが似ているなら、芸術家としての気質や真面目さを重んじるとのこと。
5浪までしても入りたいという人もいるそうで、
とにかく、90%の人は、高校時代やもっと前から
入学の準備をしてきているんだそうです。

実際の演技科の授業風景も少し見学させてもらいました。

2年生は歌の発声や、セリフの言い回しの
発声レッスンをしているところでしたが、
男子学生が、声の大きさや感情表現の仕方、
そして集中の仕方などを注意されていました。

3年生のプロダクションクラスでは、
有名な演出家の指導の下、実際に演劇作品を作っているところでした。
大学が所有するソウルドラマセンターでチケットを販売して
ちゃんと上演するそうです。

演技科の時間割りを見せてもらいましたが、
朝9時半から夜は7時半までみっちり。
時には夜9時半までの日もあり、
「こんな風にしっかりと下地を作っているから、
芸能界に出て行っても即戦力として演技ができるんだろうな」
とすごく思いました。

 

(2007年11月27日執筆)