取材レポ・コラム

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『ダンサーの純情』ムン・グニョン インタビュー

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2006年5月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

『秋の童話』で、悲恋のヒロイン、ソン・ヘギョの子供時代を演じて、いたいけな可憐さで視聴者の涙を誘ったムン・グニョン。それ以来、老若男女に愛される‘国民の妹’と呼ばれるようになった。そんな彼女が主演映画『ダンサーの純情』のプロモーションで来日。女優に取り組む姿勢について話を聞いた。

彼女は12歳のころからCMなどで芸能界デビューした。

「小さいころからたくさんなりたいものがありすぎて、女優になれば間接的にいろんな役が出来るので夢をかなえることができると思ったのが最初です。小学校3年の時、学校で演劇をしたときに周りの人から誉められたんです。そして観客が自分に注目して、私の演技を見て心を動かされている様子を見たときにすごく喜びを感じて、ますますやりたいなと思いました」

俳優になるためにまず演技学校に通って演技を学んだが、ある写真が偶然テレビ局関係者の目に留まってオーディションの機会をもらい、それに合格して映画やドラマの方に進むことになったという。


99年から『On The Way』というドキュメンタリー映画に出演。翌2000年には『秋の童話』で注目され、その後は『永遠の片想い』『箪笥』『マイ・リトル・ブライド』といった映画やドラマで活躍。‘誰かの子供時代’役を脱却し、徐々に作品のヒロインとしてキャスティングされるようになっていった。

「私は、まだ子供だから周りの人がおおめに見てくれるんじゃないかという考えは一切持っていません。何歳であろうとも自分に責任を持って、自信を持っていなければ、相手からもそれなりの待遇は受けられないと思っていますから」

こんな考え方には祖母の影響が大きいという。

「両親は共働きでしたから、私はおばあちゃん子だったんです。現場に行く時には祖母がついてきてくれて、祖母からいろんな良いアドバイスをたくさんもらいました」

『ダンサーの純情』では、初めてといっていい本格的な愛の演技に挑戦した。

「愛の演技ってやったことが無かったので難しかったですね。以前の作品でしたら自分なりに解釈・消化して役作りができたのですが、‘愛’は誰の心にもあってみんなが経験しているものなので、私だけの考えで勝手に作れるものではないと思いました。でもこの映画を通して愛が少しわかって、学べた気がするので、次の作品までにはぜひ一度恋愛も経験してみたいなあと思っています」

生きる上で大切にしているのは、‘感謝’と‘信頼’。

「いつのころからか、すべてのことに対して感謝するということがとても大切だと思えるようになりました。そして‘信頼’は、親と子も、友達でも、ありとあらゆる人間関係は信頼から成り立っていると思います。それは演技にもいえることで、自分が演技をする時に自分を信頼できれなければ、その演技は決して観客の心をつかむことはできないといつも思っています」

いまどき珍しいぐらいにピュアで、愛らしく、きちんと生きている少女は、相対すると、こちらまでもが浄化されるような魅力を持った素敵な女性なのだった。

延長戦コラム

「大騒ぎ」の受験の末、見事大学合格を手にした‘受験生’ムン・グニョン

ムン・グニョンはこの春高校を卒業し、大学生となった。韓国は学歴社会で芸能人たちも当然のように大学に行くのだが、彼女も昨年11月、他の生徒と同じく大学受験のための修学能力試験を受けた。これは日本のセンター試験のようなもので、受験生をもつ家庭にとって一年で一番大事な日になっている。

その受験当日は、熱烈なファンが押しかけて、本人にも周囲の受験生にも負担が生じてはならないとして、ムン・グニョンは別室で一人で試験を受けるという措置が取られ、周辺警備のために警察も動員された。これが韓国のネットで、芸能人特典か?と疑問視されたり、それを釈明するために教育庁が会見をしたりと、彼女の受験を巡っては何かと騒がしかった。結局はペ・ヨンジュンも通っていた成均館大学に合格が決まった。

『ダンサーの純情』のためにダンスの猛特訓を積んで、見事な踊りを披露するまでになった彼女だが、ダンスレッスンよりも受験勉強のほうが大変だったという。ダンスは頑張れば何とかできると思えたが、勉強は肉体的にも頭も心も疲れるし、ほかの人よりも勉強時間が少なかったから、その点でも大変だったと語っていた。