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『ラブストーリー』主演、ソン・イェジンインタビュー

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2004年4月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

NHK-BSで放送された韓国ドラマ『冬のソナタ』が、見る人に初恋の純粋さ、ときめきを思い出させ、日本女性たちの心をつかんだが、それと同じような初恋の一途な思いを描いた珠玉の映画『ラブストーリー』が、日本で来年の1月に公開される。今年公開されて日本でも大ヒットした『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨン監督の最新作で、1960年代の母の初恋と現代の娘の初恋を結ぶ、2世代にわたる愛の奇跡を描いた作品だ。こういった作品の主人公には、純粋さ、透明感を持った、古典的な正統派の女優が必要だ。


今、韓国映画界でこの純粋キャラが最もぴったりはまるといわれている女優が、この映画でヒロインを努めるソン・イェジンだ。韓国で‘清純美人’の代名詞にもなり、どこかクラシカルな面差しと、現代っ子のはつらつさも持ち合わせながら、恋に奥手な雰囲気が感じられる。か弱そうでいて、でも芯は強い、守ってあげたくなる女性像だ。2001年にテレビドラマで演技者デビューしてからまだ2年だが、ドラマに映画にと引っ張りだこの人気女優となっている。

韓国映画界は男性スターが中心にキャスティングされるため、女優が全体をひっぱって行く作品というのはまだまだ珍しいのだが、『ラブストーリー』は女性を中心にして話が進んでいく。当然ヒロインのソン・イェジンはほぼ出ずっぱり状態だ。まだ21歳と若い新人女優にはかなりのプレッシャーだったであろうことが伺えるが、『ラブストーリー』は彼女が演技について新たに考え直すきっかけを与えてくれた作品だそうだ。

「演技はいつも大変なものですが、この部分は自分は自信があるんだなとか、短所なんだなとかをいろいろ学べた作品だったんです。それが自分の演技に非常に役に立っていると思います。撮影は非常に大変な状況の中で行われたのですが、そんな中でどういう風にその大変さを自分で調節して、どういう風に自分自身をコントロールして感情を出していったらいいのか、そういう様々なことを学べた作品です。また俳優というのは常に自分が演じる立場なので、人に対する研究や観察を普段からたくさんしていますから、そういう相手役俳優の方々からいろんなことを感じることが出来ました」

新人だけに、インタビュー中に‘学ぶ’と言う言葉が非常に多く出てくるのが印象的だった。

そんな彼女が数々の現場を経て学んだことは?

「一番最初のドラマが本当に大変で、シャワーを浴びる時間もないくらい忙しかったんです。最初の頃はただ自分の自信だけで押し通そうとしてとにかく最善を尽くさなきゃと思っていたんですが、慣れてくるとどうやったら能率的に出来るかということがわかってきて、移動している間にちょっとでも寝なきゃいけないとか、短い時間しかないんだから今のうちに早くご飯を食べてしまおうとか、そういうことがだんだんわかってきました。最初はカメラのことがわからなくて戸惑うこともありましたが、それも次第にわかってきて演技にも応用できるようになってきたと思います」

か弱そうな外見に似合わず、過酷な状況もさらっと乗り切っているところが頼もしく感じられた。