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韓国ミュージカル

韓国ミュージカル『マイ・バケット・リスト』制作発表会

記事の転載はご遠慮ください

 

2月20日から東京で公演が行われる
韓国のオリジナルミュージカル
『マイ・バケット・リスト』の制作発表会が開かれ
取材に行ってきました。

 

 

『マイ・バケット・リスト』は、
余命少ない少年ヘギが
死ぬまでにやり遂げたい100個のバケットリストを
不良少年の同級生カングと共に実行していく物語を
2人芝居のミュージカルにした韓国のオリジナル作品です。

 

2014年に韓国で初演され、
もっと生きたいのにそれがかなわない少年と
死にたい少年がバケットリストを実行していく中で
人生の意味に気が付いていくというストーリーが
幅広い世代からの共感を呼び、
胸に響く内容が大好評を得て、
それ以降、2015年、2016年と再演された
人気のヒューマン・コメディー・バディミュージカルです。

 

昨年初めて東京公演が行われましたが、
今回は、
去年も出演したミュージカル俳優のキム・ナムホと
アイドルたちが参加します。

 

今回はなんと、
韓国の出演者たちが全て日本語で演じるという
なんとも画期的な試みの舞台なんです。

 

出演者は、

不良少年カング役に

CROSS GENEのキム・ヨンソク
BEE SHUFFLEを活動休止したミンス
キム・ナムホ

 

ヘギ役に

SNUPERのテウンと
活動休止中の大国男児のインジュン

です。

 

5人とも日本での活動経験が豊富なので
日本語会話は大丈夫ですけど、
そこに歌も芝居も入ってくるし、
おまけに2人芝居だから逃げ場もなく~
という、
とても難易度が高いことをやろうとしています。

 

この日の会見は当然のごとくみんな日本語。

とくにインジュンのなんのストレスもなく聞ける
流暢な日本語にびっくりしました。

彼自身も
「こんなに良い作品を仲のいい仲間たちと一緒にできて
とても嬉しい気持ちです。
日本語には自信があるけど、(この舞台は)
2人で2時間ずっとやらなくちゃいけないというそれなりの緊張感があります。
頑張って準備することを約束します!」

と力強く宣言していました。

 

 

ヨンソクは
「最初に事務所からこの話を聞いた時、絶対やります!
日本語だと聞いてももちろんやります!って言ったけど、
「ず」と「つ」の違いとか難しくて苦労してます。
でも稽古で幸せな時間を過ごしながらがんばり中です」

 

 

テウンは
「最初に連絡もらった時、僕にできるかなと思った。
日本語のイントネーションがとても難しい。
でも一生懸命練習したら本番ではみんなに
かっこいい姿をお見せできると思うので頑張ります」

 

 

ミンスは
「前に日本語で舞台はやったことあるけど
ミュージカルは人生で初めて。
僕にとって挑戦でもあるし、歌も勉強しながらやりたいなと。
ファンの皆さんも待ってるし、もう一度日本に行きたいと思ったし、
グループも活動休止中なので、頑張ってる姿をお見せしたいと思っています」

 

 

5人の中で唯一ミュージカル俳優のキム・ナムホは
「去年韓国語でやった時のいい思い出があるので、
今回も絶対にやります~と言ったけど、
なんで引き受けちゃったかなと後悔しました。
日本語がすごく難しくてストレスですけど、
これができたらまた一つ成長できるとドキドキワクワク
心配もいろいろありますが、今ではよかったと思っています」

とそれぞれこの作品へのオファーを受けた時の気持ちを語りました。

 

 

そして演出を担当する中野智行(PaniCrew)さんが

「5人は大変だなと。
絶対無理なことを前向きにチャレンジしてくれて。
2時間を外国語で二人だけでやるなんて
とんでもないストレスだと思うし、
でもそんな壁を乗り越えようとしている
5人のチームワークを見ていて泣きそうになるよ~
自分が学ばせてもらっています」と。

彼らは日本語の言葉の一つ一つのニュアンスを
理解しながら丁寧にやっていることに
とても感動しているそうです。

 

で、日本語のセリフですが、
みんなが口々にいうのがイントネーションの難しさです。
自分の感情の起伏と言葉のイントネーションが違うので苦労しているとか、
「~~だからさ~」とか「じゃね~よ」とかの
若者言葉を使う役というところも難しいのだそう。

 

演出家から見た出演者たちの印象では、

「ナムホは前回もやっているから
良いアドバイザーでもあって助かってます。
インジュンはふざけるキャラかと思ったら
すごく熱心で習得のペースも早く、
こちらがプレッシャーにに思うくらい。
いち早く台本を手放してるし。
その隣でヨンソクがめっちゃ勉強してるのかと思ったら
寝てんのか~という感じで(笑)。
まあそれだけ遅くまで練習してるんだなと。
テウンは遅れて合流したけど韓国で事前に勉強してきてるから
後れを取ってなくて、声がいいから
質問されるたびにキュンと来てます(爆)」
などなど。稽古場の雰囲気が分かるような感想を語っていました。

 

 

この会見の中で感動した場面がありまして、

それは、

お互いにこの人のここがすごいと思えるところは?
という質問で、
4人のアイドルたちがみんなナムホさんのことに言及したんですよね。

ミンスは
「兄貴は自分は日本語ができないというけど十分うまいし、
やっぱり俳優は違うなと見ていて涙が出るくらい感動したんです。
それで思いました!日本語の上手さは関係ない、
舞台は感情を渡すものだと感じました。すごいですよ、兄貴は!」

テウンも
「ナムホさんと一緒に練習してますが、
そのとき目の中でいろんな感情が見えるので、
それを見て自分も集中できます。
ナムホさんの演技がとても好きです」

ヨンスク
「みんなそれぞれ色があると思うけど、
ナムホさんは最初から最後まで一つ一つの演技のパワーがすごいです」

インジュン
「ナムホさんという俳優が一人いて
僕らを引っ張っていってくれるというのがとても大事。
僕らはメインは芝居じゃなくて歌ったり踊ったりだから。
ちゃんと芝居ができる人がいて、その人を見ながら
足りないところをもっと努力して見習うことができるのは先輩のおかげ。
先輩は日本語で悩んでいるけど、そんなに心配する必要ないくらいにできてるし
15年もやってる俳優なのにここまで新人のように頑張っている姿を見て
僕らも頑張らなきゃと思えます」

と後輩たちから口々に褒められて、
ナムホさんは「これわざとだ~」と照れていましたが、
そのうちにナムホさん、思わずこみ上げるものが。

インジュンはすかさず
「泣いてんじゃね~よ」とセリフで突っ込みを入れてましたが。

 

そしてナムホさんがずっと思っていたであろう想いを口にしたのです。

「僕は日本が好きで数年前に日本に来て、
いま日本での方が仕事が多いです。
でも日本語がまだまだで…。
韓国でやればもっと楽にできるのに、
なんで今ここで若い子たちとやってるんだ~と
毎日思ってきましたが、こんなチームに会えて良かった。
僕は元々ポジティブなのに、今回は準備時間が短すぎて
僕にはできないと何回も訴えました。
1週間くらいホントに頑張ったのにイマイチで
ずっと大丈夫かなと心配しかなかったけど、
今ホントに幸せなのは
本当にこんなにまじめに頑張っている人たち見たことないくらいに
先輩にショックを与える人たちだから、
私は今この人たちを見て頑張っています。
『マイ・バケット・リスト』は2人しか出ないのがもったいない。
5人全員で出られたらもっといいものになると思えるくらいチームがいいんです。
このチームに出会えてよかった~と思いました。
全員頑張った姿を見て応援してください」

 

そうか、やっぱりそういう悩みを持っていたんだな~
と心中を察しつつ、
でもこうして後輩たちがナムホさんのことを
しっかりとリスペクトして、
またそんな後輩たちをナムホさんも頼もしく思い~
というチームワークの良さがすごく感じられて
じんわりと来てしまいました。

 

インジュンが、
「ここまで仲良くなっていいのかと思えるくらい、
ある意味自分のグループのメンバーより仲がいいかも。
毎日深夜2時3時まで台本読みしたり美味しいもの食べに行ったり、
このいい関係性が本番で皆さんに見せられたらいいなと思います」

と言ってましたから。

 

制作発表会の最後に
芝居の中でラストに歌われる曲
「マイ・バケット・リスト」を5人で歌ってくれました。

この歌を聞いて、
その歌詞の言葉一つ一つがす~っと入ってくるんですよね。

それも胸にしみる歌詞だから
感動がざわ~って広がるんです。

 

それまでは、

何であえて日本語でやるのかな?

韓国語のままで字幕でもいいのでは?と思ってましたが、

 

これを聞いて、
あえて日本語でやる意味が良くわかりました。

この作品は特に歌詞にメッセージが込められているので、
字幕を追いながらとかじゃなく、
歌が気持ちの中にストンと落ちてくれることが
とっても大事なんですね。

 

最後に

インジュンが
「全員頑張っています。
僕らはこの熱さ、情熱を作品で見せたいと思っています。
がっかりさせないように全力で頑張っていきたいと思います」
と宣言し、

演出家の中野さんが
「日本語公演ならではの演出が散りばめられた作品になっています。
楽しみにしていてください」
と締めくくって終了しました。

これ、舞台を見たら
作品内容に対する感動だけじゃなくて、
みんなよくやったな~という
すごいがんばりに対しての感動も加わりそうです。
今からそんな予感~。

 

(2018年2月1日執筆)

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【公演情報】

タイトル:『マイ・バケットリスト』 日本語公演

会場:新宿シアターモリエール

〒160-0022 新宿区新宿3丁目33−10 新宿モリエールビル

キャスト:
カング(Wキャスト)/キム・ヨンソク(CROSS GENE) 、ミンス、キム・ナムホ

ヘギ(Wキャスト)/テウン(SNUPER)、インジュン

公演スケジュール:2018年2月20日(火)~2018年2月28日(水)

チケット金額:9300円(税込/指定席) ※4歳以上有料(3歳以下入場不可)

公式サイト:http://r-t.jp/mybucketlist
公演に関するお問い合わせ:ライズコミュニケーション03-5790-2661
(平日13:00~17:00)

 

★上演スケジュール詳細

2/20(火)19:00 キム・ヨンソク/テウン

2/21(水)14:30 キム・ヨンソク/テウン  19:00 キム・ヨンソク/テウン

2/22(木)14:30 キム・ヨンソク/インジュン  19:00 キム・ヨンソク/テウン

2/23(金)14:30 ミンス/テウン  19:00 ミンス/インジュン

2/24(土)12:00 キム・ヨンソク/インジュン 15:30 キム・ナムホ/テウン

19:00 キム・ヨンソク/インジュン

2/25(日)12:00 キム・ヨンソク/インジュン 15:30 キム・ナムホ/テウン

19:00 キム・ヨンソク/インジュン ※追加公演

2/26(月)14:30 ミンス/テウン  19:00 キム・ナムホ/インジュン

2/27(火)14:30 キム・ナムホ/インジュン  19:00 ミンス/テウン

2/28 (水) 14:30 キム・ナムホ/インジュン 19:00 ミンス/テウン ※追加公演

 

主催:ミュージカル マイ・バケットリスト実行委員会
協力:株式会社コンテンツレインジ、株式会社BIG UP
制 作:株式会社ライズコミュニケーション
演出:中野智行 (PaniCrew)
宣伝:合同会社MIDUMU