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イ・ゴンミョンインタビュー『インタビュー―お願い、誰か僕を助けてー』

 

 

トライアル公演から、京都公演、韓国の本公演まで最初っから『インタビュー』という作品に関わってきたのが韓国のベテランミュージカル俳優イ・ゴンミョン。

イ・ゴンミョンさんは、古くは『ギャンブラー黄金の鍵~』から始まり、『ジャック・ザ・リッパー』『三銃士』『ヴァンパイア』に『ハル』などなど、数多くの韓国の来日公演に出演しているほか、コンサートも何度も開催するほど日本とは何かと縁の深い俳優さん。

そしてアイドルたちとの共演も多く、フレンドリーで面倒見のよい性格から、彼らにとっては頼れる兄貴的な存在です。そんなイ・ゴンミョンさんに、超新星との共演エピソードなどを中心にお聞きしました。

 

――トライアル公演から参加されていますが、『インタビュー』がここまで大きな反応を得る作品になると思っていましたか?

いえ、わかりませんでした(笑)。最初、脚本も書いた演出家から初稿の台本を見せてもらった時、とても興味深くてやってみたいなと思い、トライアル公演に参加することになりました。稽古すればするほど面白くなっていく作品で、僕らが一生懸命に作り上げていけばいくほど観客も気に入ってくださったんです。それくらい反応は良かったけれど、でも正直こんな風にまで世界に羽ばたく作品にあるとは思っていませんでした。

京都で公演すると聞いた時、すごく心配したんです。というのも、海外公演する場合はストーリーをできるだけシンプルにして現地の方に理解しやすくするというのが慣例でしたが、本作は韓国人の観客が見てもわかりにくい難解なストーリーでしたから。字幕が付くとはいえ、果たしてどうだろうかと心配のまま公演したのですが、僕ら俳優が醸し出すニュアンスをお客様がきちんとキャッチしてくださっているなと感じられて本当にありがたかったです。なので東京公演もとても期待しています。

――アイドル達との共演が多いですが、超新星のメンバーとの共演はいかがでしたか?

超新星は主に日本で活動しているから僕はよく知らなくて、上手くできるのかなと心配したのですが、彼らは稽古にすごくきちんと出てくるんです。自国ではない海外で活動しているからか、演出を受けてもそれを受け入れて反応するセンスに優れていました。そんな頑張りだったりセンスが稽古でどんどん出てくるんですよ。そんな態度を見て、その時点で、あ、これはもうイケるなと感じました。

――会見で、ソンジェさんが大変だった時ゴンミョン先輩が力になってくれたと言ってましたけど、どんなことを指導してあげたのですか?

指導というより、(多重人格役だから)いくつも人格が出てきて、一つ一つの役に瞬時に変わらなくてはならないので、その変身の過程にソンジェ君はすごく苦労していたんです。会見で本人が言ってたように自分は元々怒れないタイプでジミー役にとても苦労していたので、私は「お前の中に全部あるから」とたったひとこと言ってあげました。

「嫌なことがあったら君だって火がついたように怒るだろうし、好きな女の子の前ではすごく優しくなったり、男同士で飲みに行くときにはタフになるだろう。とにかくお前の中に必ずあるものだから、それを引き出して幅広く表現すればいいんだよ」と。

「だから心配するな、心配するな、心配するな~」と繰り返し言ってあげました(笑)。

――稽古場の先生ですね(笑)。

彼らは、全てのことに一生懸命に取り組むということは既に体に染み込んでいるんですよ。今のアイドルたちは踊りや歌だけでなく事務所が演技までも訓練させて、準備された状態で入ってきます。なので、大切なのは演技のコーチというよりも、その役が持っている背景などの状況を理解させること、その状況の中で自信をもって演じられるようにしてあげること。この二つができたら先輩としての役割は終わりです。その役が置かれている状況を正確に理解させてあげれば演技が格段に良くなりますからね。

――以前、「ソンミンさんが一から十まで聞いてくる」とおっしゃっていましたが、現在『花より男子』の稽古中ですけど、何かアドバイスを求めてきたりしますか?

(笑)時々連絡は取りあっているけど、作品に関わっていない先輩があれこれ口出すのはとても危険なことなんですよ。演出の方向性を知りもせずに発言するとアドバイスがかえって毒になりますからね。なので、私がそのチームにいない場合はアドバイスはしないんです。

 

――ところで、日本版の『フランケンシュタイン』はご覧になりましたか?

すっごく見たかったけど見られなかったんですよ。でも評判は聞きましたよ。日本のファンたちが日本版を見た感想を手紙で教えてくれるんです。今回どの役にも本当に素晴らしい俳優たちがキャスティングされたおかげで舞台を非常に盛り上げたと。それから、韓国のように映像を使わずに演劇的な要素が非常に際立っていたとも聞きました。こんな風にすごく気になっていたんですよ(笑)

――昨年は『ロッキー』の公演が初日の前日に突然キャンセルされたり、韓国ミュージカル界では驚くような残念なニュースが時々ありますが、ミュージカル界に身を置く俳優としてはどのように思っていらっしゃいますか?

韓国ミュージカルはとても速いスピードで成長してきました。驚くほどの速さで。なのでその分バランスが悪かったと思います。まだ安定期ではなく過渡期といえるでしょう。でもそういう残念な出来事があったからこそどんどん強固なものになってきたと思います。日本もそうですが、韓国も危機に強いんです。なので、確実にこの経験が将来的に良い成果となって残っていくと思います。

――最後に、『インタビュー』のここを見てほしいというところを教えてください。

この作品はとても暗くてスリラーに分類されてしまうと思いますが、この作品が伝えたいのは、幼い子供にとって愛はどれほど重要なのかという‘愛の物語’なんです。韓国や日本だけでなく世界的に児童虐待がとても多いし増えていますが、この作品では、子どもに対する絶対的に守らなければならない愛が心理劇の中で確固たるものとして描かれているので、ぜひ愛の物語を感じて帰っていただければと思います。それが、僕が演じるユージン・キムの願いですね。

 

明るく大らかに、表現力豊かに話してくれるので、聞いているこちらも楽しくなってくるというゴンミョンさんマジックは相変わらず。でも作品のテーマや大事なことは、はっきりくっきりとまるで先生のように語ってくれるので、多くのアイドルたちから頼りにされるのもうなずけるのでした。3人の相手役ごとに反応や表現が変わっていくであろうイ・ゴンミョンさんのユージン・キム役、楽しみです!

 

『インタビュー―お願い、誰か僕を助けてー』の制作発表会見の模様はこちら

 

2017.2.17執筆 インタビュー・文 田代親世