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キム・スンデインタビュー

甘いマスクからは意外だが、長年格闘技をやってきて、
体育大学に進むはずだった。
が、俳優志望の友人に誘われて
演劇科の説明会に行ったのがきっかけで方向転換。

「わけも分からず面接試験に行き、
トロットを歌ったり、水泳も得意なので
舞台の隅から隅まで泳ぐ真似をしてみせたんです。
そんな情熱やリラックスキャラが受けたのかも」

とのことで合格。

だが、父親の反対にあい、なんと3ヶ月も家出したそう。
そして父親からの

「ちゃんと準備して演劇映画科の中でも一番の学校に入れ」

との条件を飲んで、一年浪人して東国大学に入学したという。
気骨のある青年だ。

ミュージカルを始めた経緯も面白い。
「演劇の名門大学で学んでいただけに、
正統派演劇を重視していて、
最初はミュージカルなんて商業的だ、安っぽい…
くらいに思っていたんですが、
大学時代の友人がミュージカルマニアで、
『ジキル&ハイド』のオーディションの時、
彼が勝手に僕の応募書類も送ってしまい、
仕方なく一緒に行ったら合格しちゃったんです」
とのこと。

「二度とも友達のおかげですね」と水を向けると、
「韓国には ‘友を追って川の南に行く’ という
ことわざがあるくらいなんですよ」と笑った。

 

映画『酔画仙』についてたずねると、
「演劇科1年の時、
セミナーでいらっしゃったチェ・ミンシクさんが僕を見て、
‘君は目が面白い’と言って、無理やり映画会社に連れて行き
役を作ってくれたんです。
歴史上ミンシクさんが演じる画家の弟子は2人なのに、
そこに3人目として入れ込んで架空の人物として出演しました」
という。

他のところでも、監督から
「君の眼差しがほしい」と請われて出演を決めたこともあるそうで、
とにかく、‘こいつには何かやらせたい’と周りがほおって置かない人なのだ。

【キム・スンデ プロフィール】

1980年5月1日生まれ。
合気道公認2段、格闘技公認3段と師範の資格を所有。
06年『ジキル&ハイド』でミュージカルデビュー。
『エリザベート』(12年)のルドルフ役は泣かせる演技で賞賛された。
‘役柄を魅力的に創りだす’と評価を受ける演技派である。

 

(2012年12月11日執筆)