『フランケンシュタイン』日本版鑑賞 – 田代親世の韓国エンタメナビゲート

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『フランケンシュタイン』日本版鑑賞

 

遅ればせながら、先週と今週で、
日生劇場の『フランケンシュタイン』を見てきました。

 

この作品は韓国で大人気を博した韓国の創作ミュージカルで、
2014年の初演、2015~2016年の再演を経て、
このたび日本人キャストで上演されることになったミュージカルです。

 

世界的に有名な「フランケンシュタイン」の物語に、
ビクター・フランケン博士と、
その研究パートナーとなる
アンリ・デュプレという青年との友情を色濃く絡めて、
親友のアンリを生き帰らせるべく
フランケンシュタイン博士が生命創造を行ってしまったが為に
巻き起こる愛憎劇が描かれていく作品です。

韓国的なドラマチックな創作設定が効いていて、
いろいろと深読みができ、
男性同士のブロマンスの魅力もあって、
熱狂的なファンを多く生み出してきたミュージカルなんです。

 

韓国では歌うまの韓国の中でも特に上手い俳優たちが出演し、
スケールの大きな難曲の数々を歌い上げ、
その歌声のすごさに熱狂する作品でした。

 

その韓国の『フランケンシュタイン』が
日本キャストで上演されると聞いた時、
日本人キャストにあの難曲ばかりの作品が
やりこなせるのだろうか? と
失礼ながらちょっと心配だったのですが、

とっても良かったです!

 

今回私が見たのは、

中川晃教×加藤和樹

柿澤勇人×小西遼生

柿澤勇人×加藤和樹

のペアで、3回です。

あの超絶難曲を歌いこなせているだけでも
もうすごいと思ってしまいますし、
そこに熱い演技が加わって
濃い感情がビシビシ伝わってきて
胸がいっぱいになりました。
『フランケンシュタイン』を日本でストレスなく聞けるなんて!

 

正直、歌だけを比べてしまえば、
高音部の抜けるような伸びとか、
ド迫力の爆発ぐあいとかは
一歩届かないのかもしれませんが、

日本では、ミュージカルでの歌は、
‘聞かせる’ ことに主眼を置くよりも
芝居の一環として表現されていく感じなので、
聞きほれるほどすっごくうまくなくても
気にならないというか、
もう十分素晴らしいと感じました。

歌はうまいに越したことはないですが、
上手いだけでもダメで、
やっぱり歌に乗せて感情が伝わってきてなんぼですからね。

そういう意味で、激情、絶望がしっかり伝わって来て
胸に迫るものがありました。

 

 

主演の男性4人はそれぞれが熱演で、
皆さんとっても魅力的でした。
個人的に、柿澤ビクターのツンツン具合がとてもツボで、
当初の予定より柿澤ビクターの分を買い足してしまったのでした。

加藤アンリは静謐さと清廉さと慈愛が感じられる役造形で、
小西アンリは瞳に虚無感があって、
身体全体から厭世感が漂っていました。

二人とも身長があるので
怪物になった時のロングコートを着た立ち姿がまた素敵で、
美しく悲しい怪物に目が釘付けでした!

お二人にとって当たり役になるのではないでしょうか?

 

いろんな組み合わせでもう一巡くらい見たいなと
思ってしまいました。

でも内容が重いので、
見おわるとずっしりと疲れてしまうのですが…。

 

濱田めぐみさんはやはり素晴らしく、
「欲と血の世界」という、
韓国ではパワフルな印象しかなかった曲が
濱田さんの艶のある歌声で、
力強くも緩急のある色合いが感じられる歌になっていました。

音月桂さんが、楚々としたお嬢様と
社会の底辺にいるような下働きの二役を
見事に演じ切っていて、
この汚れ役が歌う、
迫力がありつつも哀れで切ない内容の歌が
ズシンと胸に響きました。

 

鈴木壮麻さん演じるルンゲが可愛い役作りで、
このお芝居の中で唯一ほっこりさせられるパートでしたね。

 

日本版は怪物が執事のルンゲに嚙みついた時の血のりがなかったり、
表現がマイルドなところがありましたが、
丁寧な説明をセリフに入れ込み、
物語の背景がよくわかるように工夫されていて
韓国版では唐突に思えたところも
いろいろとなるほど~と腑に落ちました。

 

『エリザベート』の時も思いましたが、
韓国だと「ミルク」という歌の時、
いきなり歌が始まりますが、
日本だと、
「うちで赤ん坊が待ってるんだ!」
「ミルクをおくれよ~!」
というような芝居を入れて庶民の切実感を出したり、

ハンガリーの国旗や「エーヤン」の意味の説明が入ったりと、
観客にわかりやすくしているんですよね。

『フランケンシュタイン』では、
アンリの心情が丁寧に語られていましたし。

 

韓国は歌の力が強いせいか、
スッスッと歌中心で進んでいくので、
ある種シックというか、
愛想がないようにも感じてしまいます。

 

なので、日本の『フランケンシュタイン』は、
作品として、歌、演技、すべてのバランスが整っていて
とっても良かったです。

いやあ、それにしても
内容といい、曲といい、つくづくすごい作品ですね。

 

『フランケンシュタイン』は、
1/29日に日生劇場で千秋楽を迎えたあと、
2/2から大阪・福岡・愛知でも公演が行われます。
詳しくは『フランケンシュタイン』サイトをご参照ください。

http://www.tohostage.com/frankenstein/

 

(2017年01月25日執筆)