『スウィニー・トッド』 – 田代親世の韓国エンタメナビゲート

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『スウィニー・トッド』

ミュージカル『スウィニー・トッド』は
無実の罪で15年収監され、
妻と娘を奪われた男の凄惨な復讐劇で、
男性主人公のトッドが理髪師なので、
店に来た客を次々に髭剃りナイフで首をかっ切って、
その死体を、彼の協力者であるパイづくりの女性が
ミートパイに加工して販売するという、
ブラックで救いのない話なんですよね。

でもその作品でチョ・スンウとオク・チュヒョンという
韓国ミュージカル界が誇る男女トップスターが初共演を
するというので、それはどうしても見ないと~と、
楽しみにしていたのでした。


4月には日本版の『スウィニー・トッド』を見て、
ジョニー・ディップ主演の映画版も見て予習をしましたが、
キャッチーなわかりやすい曲があるわけでもなく、
人肉パイなんて気持ち悪い話だし、
あまり好きになれなかったので、
韓国版も「一回見るだけでいいや」と思っていたんです。

で、6月の開幕まもない頃に
チョ・スンウ×オク・チュヒョンで見たのですが、
見てみたら、これが面白い。
ブラックユーモア満載で、
まあそれは日本版の舞台でもそうだったのですが、
どっかんどっかん笑いが起こり、
そしてやっぱり歌がうまいので、
全てが滑らかにこなれていて見やすいというか、
聞いていて引っかかるところがないので
ドラマに没入できるというか。
歌をしっかり聞いたにもかかわらず、
しっかりと芝居を見たという印象が残りました。

チョ・スンウが、
こんな彼の表情始めてみるわ~という、
せっかちでイライラしたり、ほくそえんだり、
意固地だったり、残忍な笑みだったり、
復讐に凝り固まった男の頑固さだったり~
の演技を披露していて新鮮でした。
憎らしい相手にも空々しく接してみたり、
とにかく演技で笑えるポイントが多いんですよね。

で、オク・チュヒョンがまたちゃんとおばちゃんになっていて、
いやはや、歌だけじゃなく、
演技の幅も広いんだなあと感心することしきり。
歌の歌える大竹しのぶに見えました。
かわいさとどぎつさと図々しさが同居していて、
ついこの前まで妖艶なマタハリやっていた人とは
思えないくらいでした。

で、あまりに面白かったので
一回には留められず、
その2週間後に今度はチョ・スンウ×チョン・ミドで
2度目を見たのですが、
2度目ということもあって
ますます面白く感じました。
チョン・ミドもさすがにうまい。
スンウさんとの共演も多いので、息ぴったりでした。
でも体格が華奢なので、
どうしても可愛らしいイメージが強く出がちかな。

この舞台、言葉が分からなくても、
俳優たちの表情や間合い、掛け合いのテンポの良さで
十分に面白さが伝わってきます。
今回一緒に観た人は韓国でミュージカル見るのが初めてで
韓国語はわからなかったのですが、
すごく面白かったのでもう一度見たいと言っていましたから。

個人的には私はオク・チュヒョンの声が好きなので
オク・チュヒョンをもう一度見てみたいですし、
こうなってくるとヤン・ジュンモはどんななんだろうと
とても2回では終わらない雰囲気になってきました(汗)

アンサンブルもクウォリティー高かったですね。
さすが、完成度の高い舞台を作るODカンパニーの作品です。

日本と比べると全体にシックな作りで
舞台セットもすごくシンプル。
俳優の芸で持たせてる感じでした。
まあ十分持つからいいんですけど。
舞台セットや美術は日本の方が見ていて楽しかったかも。

萌えとかハマるとかはないのですが、
とにかく面白いなあと満足感が高い作品です。
10月3日まで上演されているので
きっとあと2回くらいは見に行ってしまうかも。

 

(2016年07月21日執筆)