『ジャック・ザ・リッパー』ソウルで開幕 – 田代親世の韓国エンタメナビゲート

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『ジャック・ザ・リッパー』ソウルで開幕

 

先週末、『ジャック~』のプレビュー公演を
見てきました。

この演目、過去にアイドル達を主演に据えて
二度も来日公演をしているので、
日本の韓流ファンやミュージカルファンの中でも
けっこう知られている作品ですよね。

私にとっても、ソウルでアン・ジェウクが主演の
この作品を見てものすごく感動して、
そこから韓国ミュージカル通いが始まったという
きっかけとなった作品です。

で、アン・ジェウクやオム・ギジュンが演じていた役を
ここ数年はアイドルがやることが多くなっていて
すっかりアイドルミュージカルな様相を呈していたのですが、
今回の『ジャック~』には、
なんと、アイドルがやっていた主演のダニエル役を
私のイチオシ、リュ・ジョンハンが演じるとのことで、
びっくりするとともに、俄然期待が高まったのでした。

オム・ギジュン、カイとのトリプルキャストで
今回アイドルは一人もいません。
ダニエルと相対するアンダーソン刑事役にも
キム・ジュンヒョンが再登場のほかは、
パク・ソンファン、
チョ・ガンヒョン改め、チョ・ソンユン
という新顔の布陣です。
『三銃士』もそうでしたが、『ジャック~』も
大きくキャストを変えて、
新たな観客の掘り起こしを狙っているんでしょうね。

 

で、Mミュージカルカンパニー
という制作会社が作っている作品で、
この会社は韓国で上演するときでも
日本語字幕を付けてくれていた
とってもありがたい会社だったのですが、
今年は、『三銃士』もそうでしたが
『ジャック・ザ・リッパー』にも
字幕はついていませんでした。
『ジャック~』はアイドルが出ていないから
そうかなとは思っていましたが、
アイドルがたくさん出ていた『三銃士』にも
字幕がなかったので、どうしてかなと。
中国人観客が増えて日本語字幕だけずるいとか
意見が出たのかしら?
と、いろいろ想像してしまいました。

ま、ともあれ、
『ジャック~』ですよ。
現在と2日前と7年前という風に
時間を行き来する構成なので、
最初は把握しずらいのですが、
切り裂きジャックという実際にロンドンを騒がせた
連続殺人事件をもとに、
二組の哀切な愛の話が描かれているので
女子受け度が非常に高い作品だと思います。

主演のダニエル役者が、
7年前の若々しくうぶな青年医師の雰囲気と
7年後の、暗くよどんだ、
何かを背負った男になっているという変化を
見せるので、二つの雰囲気が楽しめるわけです。

なので、
リュ・ジョンハン、7年後の姿はお得意な世界観だけど
若い時代はどうなんだろうと、
ドキドキしながら見たのですが(爆)、
前髪作って、若さをアピール!
表情がくるくると豊かで、
タジタジしたり、無防備な笑顔を浮かべたり、
投げキッスをしてはにかんでみたりと、
うわぁーすっごく新鮮!
と、客席で思わずニマニマしてしまいました。

そして、後半の、
愛と良心のあいだで苦悩に悶絶する
姿はゾクゾクとくる瞬間で、
ぐぁーっと持っていかれます。

しかし、いつも思いますが、
役作りが細やかで、歩き方や立ち姿が
しっかりその役の人間になり切っていますね。
ま、俳優だから当然と言われればそれまでですが、
歌声自体がすごいのに加えて
演技の面でも丁寧な作り方に
いつも魅せられます。

で、私が見た日のアンダーソン刑事は
パク・ソンファン。
この秋、日本の『ミス・サイゴン』にも
登板する俳優さんです。
優等生的なタイプなので、
まだちょっとやさぐれ感が板についていない感じも
有りましたが、熱演で、
彼も歌がうまいし、
この作品における一番のキラーソングと思われる
「灰色の都市」を歌うので、
目立っていました。

この日はプレビュー公演でしたが、
これまで見てきた『ジャック~』と
演出的に大きく変わった印象は受けませんでした。
ほぼ同じだったと思います。
もっとも最後に観たのが
チ・チャンウクがダニエルを演じた
2013年の夏だったので
演出の細かいところまでは覚えていないのですが。

10月9日まで上演するので、
またどう深まっていくのか楽しみです。

 

(2016年07月21日執筆)