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『シャーロック・ホームズ2~ブラッディ・ゲーム~』日本版

 

観てきました、上記の舞台。
昨年始めに橋本さとしさんと一路真輝さん、
浦井健治さん主演で好評を博した
ミュージカル『シャーロック・ホームズ』の
シーズン2です。

「シャーロック・ホームズ」とありますが、
これはもともと韓国の創作ミュージカルで、
おなじみシャーロック・ホームズを主人公に、
助手のワトソンが女性という設定になって、
彼らが出会う事件の顛末が描かれていくミュージカルです。

1年あまり前、韓国で上演された時に
オリジナルの舞台を見ているのですが、
なにせ推理劇として入り組んでいるので
細かいところが分からず、
モヤモヤとしていたので、
日本語で上演されるのを心待ちにしていたんです。
でも、日本語版でもやはり、
もう頭をフル回転して見ないと
こんがらがってしまいそうでした。

事件の経過や推理が歌で説明されるので
なんとなく聞き流していられない感じで
しっかり聞かなきゃと集中です。

今回は切り裂きジャック事件にホームズが
関わっていくという設定なので、
連続殺人事件の概要が歌で生々しく紹介されるのですが、
それを一路さんが歌いあげるわけで、
ぎょっとするようなどぎつい内容の歌詞で
これは、ディナーショーでは
絶対に歌えない曲だわ~と
思いました。
大体、こんな歌詞の歌を歌わされる女優さんって
他にいないでしょうね(笑)。

ミュージカル「シャーロック・ホームズ」は、
1もとっても面白かったですが、
2ではよりスリラー色が増していて
舞台の見せ方が面白いんです。
個性豊かなホームズとワトソンコンビに
おじさん警部が加わった面白トリオがいる一方で、
クールなエリート警部と、
謎めいた美男美女のカップルが登場して、
切り裂きジャックの陰惨な事件が起こってくる
というゾクゾク感。

謎解きやミステリー的な驚きを楽しみながら、
笑いあり、涙あり、
華やかさと壮絶さが入り混じった
1級エンターテインメントという感じになっています。

1幕はいろんな事件がおこったり
人物が出てきたりで、
何がなんだかよくわからない~
という感じで終わるのですが、
それが2幕で明かされていき、
最後には泣けてしまう~という展開です。
まあ、まさにドラマチック韓流ワールド
全開なんですよね。
そこが韓国らしくて好きです。

韓国ミュージカルの日本上陸の形には
韓国俳優が演じる韓国版がそのままやってくる
『ジャック・ザ・リッパー』や
『三銃士』のような例もありますけど、
本作のように、韓国の創作ミュージカルを
日本版として日本の演出・俳優で上演するという形もあって、
この『シャーロック・ホームズ』シリーズは
その形にとっても合っていると思います。

なにせ、歌で説明される部分が多いので、
字幕では推理の内容を出しきれないでしょうし、
日本語でダイレクトに歌詞を聴いた方が、
断然面白いです。
また橋本さとしさんや一路真輝さんが
ガラに合っているというか、
役にぴったりなんですよね。

こうした日本の人気俳優さんが出ているので、
特に韓国ものと意識せずに見てもらえて、
韓国ミュージカルに対する
潜在的な観客層の広がりに
大きなプラスになっているなあと感じます。
これで初めて韓国ミュージカルに触れたというお客さんも
きっと多いと思いますし、
内容が面白いですから、
韓国で再演された時に、
オリジナル版も見てみようと思ってもらえますしね。

 

東京公演は5月10日まで。
その後、福岡と兵庫で地方公演があります。

 

(2015年05月07日執筆)