ミュージカル
キム・ダヒョンの『ヴォイチェック』
先日ソウルで観劇した中で、
キム・ダヒョンさんの『ヴォイチェック』も
見ました。
先月の日本でのファンイベントのときに、
ダヒョンさんが役作りのために
身も心も絞り込んでいる様子を拝見して、
その気合のほどを感じていたのですが、
いやあ、ダヒョンさん、すさまじい演技でした。
私はミュージカルには
ロマンや感動を求めているので(笑)、
人間の強い欲望や極限の負の感情を見せるような内容は
あまりミュージカルでは見たくないんですよ。
なので、私にはちょっと苦手なタイプの作品だったのですが、
演劇的な作品なので、
人間の残酷さや醜さ、切実さ、
極限の状況などに置かれた人間の心の動きなどを
感じるのが好きな芝居好きの方なら
面白く感じられると思います。
歌や演出で色々と面白く見せる工夫がなされていますから。
で、苦手とは言いながら、
ダヒョンさんの演技の凄さは
特筆すべきものがありました。
愛する妻と赤ん坊のためにお金を稼ごうと、
えんどう豆だけを食べて過ごすと
人間はどうなるのかという人体実験に
挑む兵士の役なのですが、
舞台ではすでにもう実験が始まっている設定で、
ダヒョンさんが息も切れ切れに
ふらふらしながら登場するんです。
そんなつらい目にあっているのも
全ては妻と子供のためなのですが、
その妻に裏切られ、
上司からも博士からもいたぶられて、
どんどんひどい妄想に取り憑かれ、
神経がおかしくなっていってしまうんです。
しかも、下着一枚の姿にさせられて
椅子に座らせられ電気をかけられてしまうという
なんとも痛々しい目にも合わせられてしまいます。
この一連のダヒョンさん、
目は落ち窪み、イッちゃったような表情で
視界が定まらずという感じで、
本当に見ていて怖く感じるほどでした。
これ、ファンの方々はどういうふうに見るのでしょう。
ダヒョンさんの演技の凄さを誇りに思うと同時に、
好きな俳優のあの痛々しい姿、
見たいと思うか見たくないと思うか、
微妙なところでしょうね。
ただ、‘俳優キム・ダヒョン’の存在感は
この作品で際立っていました。
それまで、あの美しい顔のせいで
演技力まで言及されることが少なかったと思いますが、
この作品ではそれが覆ることでしょう。
(2014年10月19日執筆)