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『ウェルテルの恋』プレスツアーリポート、チョン・ドンソク編

来年1月に日本で公演が行われるミュージカル
『ウェルテルの恋』プレスツアーに参加し、
韓国公演の初日を観劇してきました。

ゲーテが書いた小説「若きウェルテルの悩み」を原作にした
韓国オリジナルの創作ミュージカルです。

制作会社が題材を探していて、
この原作に行き着いたということですが、
確かに愛のために死ぬ話だから
ドラマチック韓国ミュージカルにはぴったりですね。

演出を担当するキム・ミンジョンさんも
「ドイツのものは、不思議なほど韓国の情緒に合う」
と言っていました。
「原作にはテーマがたくさん含まれているけれど、
ミュージカルは愛に重点を置いて脚色した。
ドラマチックで、ロマンチックで、
韓国でも最も愛されているミュージカルの一つ」
とのことでした。

2000年の初演以来、何度も再演されていて、
これまでにチョ・スンウやオム・ギジュン、ソン・チャンウィなど、
日本でも知られている錚々たる俳優たちが主人公を演じています。

初日を見たんですが、
クラシカルな情緒があり、
美しくメロディアスなミュージカルで、
韓国のドラマチックなミュージカルが好きな人に
向いているなと感じました。

ブロードウェイのもののような、
はじけるエネルギー、という感じではないけれど、
緊張感にあふれていてテンションが高い。

舞踏会で美しい女性ロッテに
一目惚れをしたウェルテルが主人公で、
簡単に言うと、
勝手に盛り上がって失恋しながらも諦めきれず、
激しい恋患いをしていく男性の話なんですが(笑)、
美しく哀しいポエムのようなミュージカルになっていました。

ウェルテルとロッテ、
彼女の結婚相手の3人で歌うところなどは、
緊張感があってとてもよかったです。

韓国では4人のキャストでやっていて、
そのうちの2人が日本やってきます。

公演が始まる前に、
日本公演にダブルキャストで主演する
キム・ダヒョンさんとチョン・ドンソクさんにインタビューしました。

チョン・ドンソクさんは声楽科出身の新鋭で、
声のパワーに定評がある人。
『ウェルテルの恋』は初めてですが、
これまで『エリザベート』や『二都物語』
といった作品に出演しています。

『モーツァルト』や『天国の涙』、『エリザベート』など、
JYJのジュンスと同じ作品にも出ているので、
彼のファンにはおなじみかもしれませんね。

はっきりした目をしていて
「ミュージカル界のカン・ドンウォン」とか
「ドンソク王子」と呼ばれているそうです。

ノーブルな感じで背も高く、手足が長くて、
目元の濃さと頬骨のラインが
確かにカン・ドンウォンに似ていました。

彼自身、6年くらい片想いをしていたことがあって、
「その時のことをこの作品の脚本を読んだ時に思い出し、
共感しながらやっています」とのことでした。

また、ずっと歌を志してきたので、
今までは歌を生かすことを考えてきたけれど、
最近は演技に力を入れていて、
「ミュージカルは歌も演技もできるのが魅力だと思っている」
と話していました。
クラシックを専攻する他の人と同じように、
教会の合唱団の指揮者の先生から影響を受けて、
この道に進もうと思ったんだそうで、
いわゆるポップスはあまり聞いたことはなく、
今もクラシックを好んで聞くそうです。

『ウェルテルの恋』では、
純粋でピュアな気持ちを出していきたいということで
「カップルで見にくる人に、
隣にいる人がどんなに大切な存在かを感じてもらいたい」
と話すのを聞きながら
「韓国に比べて日本では
ミュージカルをカップルで来る人はそれほど多くないけどね……」
と思ったりもして…(^-^;。

「日本のファンはとても慎重に自分に近づいてきて
尊重してくれるから、
自分が大切な宝物になったかのような気持ちになる」
とも語っていましたね。
『ウェルテルの恋』は
自分のターニングポイントになるであろう大切な作品で、
「僕自身が悩み苦しむ時はどういう状態になるんだろう」
と確認して、演技に昇華できるようにしているとのことでした。

演出のキム・ミンジョンさんによれば、
チョン・ドンソクさんは
「少年のよう。そして、どこで爆発するかわからない
火山のような魅力を持った人」
ということで、すごく楽しみですね。

彼は日本に来るのが初めてなので、
「心の底から、日本で寿司を食べてみたい」とか。
「どう韓国と味が違うのか。
お寿司大好きで『将太の寿司』というマンガも読んだ」
ということです。

日本のファンに対するメッセージとしては
「僕が行きますから、クオリティの高いものを見ていただけます」
とのこと。
かわいい顔をしているけど、
そういうことをさらっと言ってのけるところは、
「おお、自信あるのね~、やるじゃん!」
と思えて頼もしかったです。

彼は『エリザベート』でルドルフ王子を演じていることもあり、
12月から1月にかけてシアタークリエの5周年記念で行われる
「ONE-HEART MUSICAL FESTIVAL」にも出演します。

 

(2012年11月15日執筆)