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『哭声/コクソン』

『哭声/コクソン』(配給:クロックワークス)
2017年3月11日(土)シネマート新宿、ほかにて公開
写真©2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

http://kokuson.com/review.html

『哭声/コクソン』は、デビュー作『チェイサー』(2008)、続く『哀しき獣』(2010)で、映画人・評論家、観客すべてをうならせた映像作家ナ・ホンジン監督の最新作です。
ある村で起きた連続猟奇殺人事件を巡る骨太のサスペンス・スリラー。『哀しき獣』『弁護人』など数々の映画を始め、ドラマ『ファントム』(2012)でソ・ジソブと良いコンビネーションを発揮する演技で注目されたクァク・ドウォンが初の主演に抜擢され、日本の俳優、國村隼が圧巻の不気味な存在感で、青龍映画賞史上初、外国人として男優助演賞と人気スター賞をW受賞しました。

                 ©2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

 

<ストーリー>
田舎の村で警官の仕事をしている男ジョング(クァク・ドウォン)。平和な村だったのに、ある日をきっかけに村人が自分の家族を残虐に殺す事件が多発します。

                 ©2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

加害者の体には不思議なことに湿疹があり、キノコの毒のせいで精神がおかしくなった結果の殺人なのではという見立てもありましたが、ジョングの前に謎めいた目撃者が現れ、犯人はよそ者なのだといいます。

 

 

                  ©2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

得体のしれない、日本語を話すよそ者(國村隼)について、いつ、どうして村にやって来たのかを誰も知りません。

                ©2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

よそ者についての怪しい噂を聞かされる中、ジョングは自分の娘の異常に気が付くのでした。

そしてジョングは次第によそ者に対して狂気じみた行動をとるようになっていきます。

<感想>
普通に捜査ものとかサスペンスミステリーだと思って見たら、予想を覆され、まったく先の読めない展開に翻弄されながら、見終わって、何をどう言ったらいいのか、「なんだかすごいものを見てしまった~」という気にさせられます。
こういう映画だったのか~という驚きと、予想外のオカルト展開にびっくりでした。本来、私はホラーは苦手なのですが、でもだからといって、気持ち悪い~、怖い~と簡単に却下できない魅力があって、見終わってからいろいろと突き付けられたものを反芻してしまう威力のある作品です。
殺人事件の捜査に当たる警察官ジョングの前には、謎めいた目撃者、得体のしれないよそ者、祈祷師、神父が登場し、それぞれ違うことを口にするので、ジョングも、そして見ている我々も誰の言葉が正しいのか、誰を信じていいのかわからなくなり、翻弄されていきます。
噂が流れ、疑わしいことが積み重なり、そして自身の大切な者が窮地に陥った時、そんな切羽詰まった状況で、果たして惑わされずにいることができるだろうか?と、普遍的な人間心理を試すような内容になっているのが深いんですね。それを、いかにも何かが起こりそうな不気味な景色、色調で描いていくので、ゾゾゾッと迫ってくる恐ろしさがあります。
「エサを投げてそれに食いついたのさ」というセリフが出てきますが、これは誰が、何のために仕掛けた罠なのか。まさに、悪魔にもてあそばれている気になります。
何気なく見逃していたことも、あとで映像の伏線だったのかと思わせられるので、2回くらい見ないと把握しにくいかもしれませんね。
それにしても、すごい映画を作りますね、ナ・ホンジン監督は。