韓流ソムリエ 田代親世の韓国エンタメナビゲート

『ソウル１９４５』は、１９３０年代の日本の植民地時代から１９４５年の解放を経て、朝鮮戦争へと突入していく韓国の激動の近現代史を背景に、４人の若者たちの愛と人生を綴っていく大河ドラマです。

日本の植民地から解放された１９４５年前後の動乱期、朝鮮独立という同じ志を抱いてきたにもかかわらず、国づくりをしていく過程で理念の違いから南と北に別れ、友情も家族をも引き裂いて戦争に突入していく時代の悲劇を、ラブストーリーを基軸にしながら克明に描いていきます。

炎のように激しい情熱を持つ子爵のお嬢様（ソ・ユジン）と幼いころから彼女に仕えてきたひな菊のように優しい女性（ハン・ウンジョン）、労働者の息子で反骨精神に富んだ秀才青年（リュ・スヨン）と、地主の息子でおおらかな優しさを持ったエリート青年（キム・ホジン）。この立場の違う４人の若者の愛と友情が複雑に入りくんでいき、その時代、その状況によって対立と葛藤を繰り返していきます。

特に後半のメインとなっていくのが、親友どうしが理念の違いで袂を分かつことになり、それでも絶ちがたい情を育みながらも一人の女性を愛していく過程です。この一人の女性にささげる二人の男の崇高な愛の形が切なく胸を打ちます。

リュ・スヨンが高潔な理想に生きる清廉な革命家でありながら、信念に生きるか愛に生きるか苦悩していく姿を魅力的に演じてＫＢＳ演技大賞で最優秀演技賞を受賞しました。ハン・ウンジョンも、それまでのセクシーイメージから一転、愛に命をかける芯の強い優しい女性を好演し、ＫＢＳ演技大賞の優秀演技賞を受賞しました。

壮大な愛の物語であると同時に、いまだに分断国家である韓国が、なぜ国が分かれることになったのか、その理由を理解し、その中でどれだけ多くの人たちが傷つき、犠牲になったのかを知ることができる力作で、百想芸術大賞のテレビドラマ部門作品賞を受賞しました。

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