韓流ソムリエ 田代親世の韓国エンタメナビゲート

『冬のソナタ』は、ペ・ヨンジュン、チェ・ジウ、そしてパク・ヨンハ主演の、日本に今日の韓流ブームを巻き起こした純愛ドラマです。

高校生のユジン（チェ・ジウ）は、転校生としてやってきたどこかミステリアスな少年チュンサン（ペ・ヨンジュン）ときらめく初恋の思い出を共有します。でもチュンサンは事故で亡くなってしまいます。10年後、忘れられない初恋を胸に秘めたままユジンはインテリアデザイナーになり、幼なじみのサンヒョク（パク・ヨンハ）と婚約していたのですが、そんなとき、死んだはずのチュンサンそっくりの男性ミニョン（ペ・ヨンジュン）が現れて、ユジンは心が激しく揺れていくのでした。

ストーリーは、韓国ドラマの王道ともいえる「初恋・事故・善悪対決・再会・記憶喪失・三角関係」などがたっぷりと盛り込まれていますが、ペ・ヨンジュンやチェ・ジウのような非現実のように美しい美男美女が演じると、偶然をも違和感なく受け入れられてしまいます。
‘純愛ドラマ’という部分だけがクローズアップされがちですが、それだけではありません。男女の仲だけでなく、友人や家族に対する相手を思いやる心。守るべきものを守ろうとするがゆえに生まれる葛藤。愛に対するひたむきさ。こうした人間のあるべき姿、人間性の美しさが見る者の心を浄化します。
また‘純愛’とは、つむぐ言葉の美しさから生まれるのだということも感じさせてくれます。
何年たっても揺るがない一途な心。愛が軽くなっている時代だからこそ、愛の尊さ、一途さを描きたかったというユン監督のメッセージ性。制作者にこうした志があるからこそ見るものの胸を打つのだと思います。

そんなドラマの主人公を担ったペ・ヨンジュンがまた素敵でした。高校時代のかたくなで孤高なクールさの中にふとにじむ切実さ。ミニョンとして現れてからの、自信みなぎる堂々たる大人の成熟と洗練。ソフトな外見の中に男らしさ、頼もしさがあって、その高貴なたたずまいに惹きつけられずにはいられません。多くの日本女性を一気に恋する乙女へと駆り立てたのもむべなるかな。

そして忘れてはならないのが映像の美しさです。金色に光る晩秋の景色や真っ白な雪に埋められた冬の風景がまるで一幅の絵のように美しく映し出され、加えて余白の多いカメラワークのおかげで、視聴者はドラマを観ながら、さまざまに思いを巡らせることができるのです。「これまでの人生で自分はきちんと人と向き合ってきたのか」、「これほどまでに人を愛したことがあっただろうか」。そんな風に思いっきり心を揺さぶられ、自分の気持ちを語りたくなり、多くの女性に人生や価値観が変わったといわしめました。その後数々の韓国ドラマが放送されども、『冬のソナタ』は多くの韓流ファンの女性たちにとってまさに初恋のような存在になっています。

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