ドラマ解説

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タイトル ラブレイン
韓国放送年 2012年 全20話
演出 ユン・ソクホ
脚本 オ・スヨン
出演 チャン・グンソク ユナ キム・シフ ソ・イングク キム・ヨングァン

【 ドラマ紹介 】

『ラブレイン』は、まるで一編の詩のように美しい映像が紡ぎ出す70年代の初恋とその子供世代の現代の恋という、2つの時代を背景に繰り広げられる瑞々しいラブストーリー。日本に韓流ブームを巻き起こした立役者『冬のソナタ』をはじめとした四季シリーズの監督で知られるユン・ソクホ監督と、『秋の童話』の脚本と『冬のソナタ』のストーリーライン作家を担当したオ・スヨン作家が再びタッグを組んだドラマです。

ユン監督の描く世界は、純粋で一幅の絵のような美しい映像を画面に映し出すことに定評があります。例えば序盤の70年代の映像美は特にノスタルジックで、雨音でさえまるでBGMのようで、主人公の好きだと言いだせない切ない想いを雨の音が代弁しているように思えるほど、映像がポエムのようでした。

そんなクラシカルなたたずまいを漂わせるユン監督の世界に、チャン・グンソク、ユナというデジタル世代を代表するスター俳優が出演して、一途に人を想う美しい心、人を思いやるやさしい心といった人間性の美しさ、それを効果的に彩る美しい景色が人々を魅了した、‘清く正しく美しい’という世界観が描き出されていきます。

『冬のソナタ』が初恋をテーマにしていたのと同様、今回の『ラブレイン』の大きなテーマも初恋。70年代の親たちの世代の初恋と現代の彼らの子供たちの時代の恋を対比させて描いているのに注目です。

実を結ぶことなく、生き別れてしまった親たちの初恋。その初恋の思い出を胸に秘めているせいで父親が母親に愛情をかけなかったのを見て育った息子。母親が初恋の思い出を大切にしている姿を好ましく思って、いつか自分もそんな恋に出会いたいと思っている娘。…という風に昔の初恋が子供時代にも影響を及ぼしていく過程が描かれますが、親となった二人が32年ぶりに再会して思いを募らせていく過程も、しっかり描かれ、この熟年カップルのしっとりした雰囲気も見る者を惹きつけます。

二世代にわたる恋の行方は切なくもあり、愛らしくもありますが、同時に、あまりにも強烈な初恋に捉われてしまったがために、30年も孤独に生きてしまった男の人生を思うと、初恋という呪縛の恐ろしさも感じてしまいます。

一粒で二度おいしい

チャン・グンソクとユナが、親の世代とその子供の一人二役を演じているのが見どころ。

70年代のチャン・グンソクは、美大生でおかっぱのようなヘアスタイルで、好きな女性の姿を見ただけで胸を高鳴らせるような純情な青年。でもその息子として登場するときは、売れっ子カメラマンで愛を何とも思っていないようなプレイボーイ。ツンツンと人当たりも刺刺しいような男性です。現代の彼は『美男<イケメン>ですね』のオレさまキャラです。

ユナは清純可憐な70年代の女子大生と、現代では、日本に留学しているはつらつとした元気な女の子、という具合に、一つのドラマの中で、2人の真逆の両面が見られるのが嬉しいところです。

ドラマのトーンも、70年代と現代とではガラリと変わるので、70年代はゆったりテンポだなと感じても、現代ではオレさま男とはつらつ女性の織りなすラブコメテイストになるのでノッて見ていけます!

この作品が気に入った人は

・ユン・ソクホ監督の世界観に浸るなら
…『秋の童話』『冬のソナタ』『夏の香り』『春のワルツ』

・初恋の再燃を描いた作品なら
…『愛するウンドン』『エンジェルアイズ』『サンドゥ、学校へ行こう!』など