韓流ソムリエ 田代親世の韓国エンタメナビゲート

『根の深い木』は、ハングル誕生の物語をミステリー仕立てで描き、数々の賞に輝いた傑作ドラマです。

韓国語を表す文字としておなじみのハングル。「世宗大王が万民にわかりやすい文字を生み出した」と簡単に説明されているこの文字の誕生の裏にはこれほどの重みと葛藤と苦悩が隠されていたのかということがこのドラマを見るとよくわかります。そうしたハングル秘話が、宮廷内の連続殺人事件を捜査していく過程で明らかになり、関わる人物たちの幼き日からの恋の話も加わっていきます。

文字を広めたい者、それを阻みたい者、それぞれの信念のぶつかり合いを、韓国が誇る名優たちのさすがの演技対決で見せていきます。

韓国を代表する映画俳優であるハン・ソッキュが16年ぶりにドラマ出演を果たしたということも大きな話題となり、誰もが知る聖君イメージのある世宗王を、せっかちで血の気の多いおもしろみのあるキャラクターに作り上げ、人間味あふれるものにしました。また世宗王の青年時代を演じたソン・ジュンギも気合いの入った演技で絶賛されました。

チャン・ヒョクが演じた捜査官は、カリスマと男性美、気概に満ちた人物ですが、ちょっととぼけた風を装ったりするなど、様々な面を見せながら、ハン・ソッキュと堂々と相対していきます。

加えて、ヒョヌ、SUPER JUNIOR出身のキム・ギボムにソ・ジュニョンといった若手美男俳優たちが大挙登場しており、重いテーマの作品をより多くの人が楽しく見られるように随所に工夫が見られます。

とにかくハングルを作る過程において、身分の高低に関係なく、多くの人々がそれぞれの立場で命を賭けて自らの使命を全うしていく姿に感動し、文字を読み書きできるということが、どれだけ人々に多くの欲望を与え、夢を見させるのかと、文字の持つ力を改めて感じさせられます。

百想芸術大賞でテレビ部門の大賞と脚本賞を受賞したのを始め、数多くの賞に輝いたのも納得の、レベルの高い見ごたえのある名作です。

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