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チェオクの剣

『チェオクの剣』は、あまりにものめりこみすぎて日常生活に支障をきたすほどの熱狂的ファン、いわゆる‘タモペイン’を続出させたアクション・ラブロマンス時代劇です。

謀反の罪で父を奪われ、賤しい身分に身を落さざるをえなかった1人の娘。不遇な出生であるがゆえに運命に必死で立ち向かう男、そして理不尽な現実の中で、理想の世の中を作るのだという志に燃える男。朝鮮時代に生れ落ちたこの3つの哀しき魂が数奇な縁にたぐり寄せられ、いにしえのことわりの中で運命に翻弄されていく、壮絶で哀切な人間ドラマです。

序盤はアクション活劇の様相を呈していますが、次第に、ハ・ジウォン演じるチェオクが、自分自身よりも大事に思っている身分違いの男性ユン(イ・ソジン)と、強烈に魅かれていく敵の男ソンベク(キム・ミンジュン)というタイプの異なる2人の男たちのあいだで葛藤し、幾重にも枷のある悲愴感溢れる愛のドラマになっていきます。

脚本・演出の巧みさに加え、見るものの心を揺さぶる俳優陣の渾身の演技、そして音楽の素晴しさ。まさに何拍子も揃った傑作です。終盤にいたっては、もう濃密で凝縮された名場面のオンパレードで、画面にみなぎるその熱情に引きずり込まれること必至です。

ほかにも、理不尽な世の中で理想に燃えた志や、宿命という大きな歯車のなかであがきながら生きていこうとする人間の姿などが凝縮されていて、私も始めのほうは冷静に見ていたのですが、5,6話あたりからはまり始め、今では熱狂的なタモペインです。

このドラマ、声のトーンにもかなり気を遣っていて、その抑制のきいた台詞回しはドラマの味わいを一層深く切ないものにしてくれます。
個人的にこれまで見た韓国ドラマの中のベスト3に入る作品です。

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