取材レポ・コラム

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アピールの場であり、出会いの場。映画祭から生まれるストーリー

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2007年1月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

各国の映画が上映され、映画人たちが集い、国内外の記者たちが一堂に会する映画祭は俳優たちにとって絶好のアピールの機会だ。

アジア最大規模となっているプサン映画祭は特にゲストの数も多いし、パーティーも多いので、ゲスト同士が触れ合うチャンスが多い。今年も10月に行われたが、今年目を引いたのは、芸能プロダクションが自社所属のスターらを一堂に集めてパーティーを開いたことだ。これから公開予定の映画のプロモーションとしてパーティーを開くのはよくあるのだが、芸能事務所がその名前を前面に出してイベントを開くのは私は今回初めて見た。


韓国で今スターたちを何人も抱えている大きな事務所の代表格が、「iHQ」と「ナムアクターズ」。iHQの方は、チョン・ウソン、チョ・インソン、チョン・ジヒョンにイム・スジョン、パク・シニャンら、日本のファンにもおなじみの有名どころが揃うスター軍団だ。ナムアクターズは、ムン・グニョンにキム・ジス(『ずっと会いたい』など)、キム・テヒ(『ラブストーリー・イン・ハーバード』)、キム・ジュヒョク(『プラハの恋人』)などがいて、女優系が強い事務所だ。このふたつの事務所がそれぞれパーティーを開いていた。iHQパーティーの方は日程があわず行けなかったが、「ナムアクターズの夜」の方は、クラブを貸しきり、所属スター20人を勢ぞろいさせていた。クラブの前にはしっかりとレッドカーペットが敷かれ、クラブ用にめかしこんだスターたちがペアを組んで入場していく様は豪華であった。この両社は商談ブースも設けて海外の関係者らと話をしていたという。こうした積極的な所属俳優アピール作戦は‘世界を目指せ!’の韓国らしい。

何も大きな映画祭ばかりでなく、小規模な地方都市の映画祭も監督と俳優の縁を結ぶことがある。私が関わっている「みちのく国際ミステリー映画祭」でのことだ。2003年にポン・ジュノ監督が、長編デビュー作の『吠える犬は噛まない』の上映に際して、新人監督奨励賞の審査員も務めてくれた。このとき監督はノミネートされていた新人監督の山下敦弘監督の『ばかのハコ舟』を面白かったと誉めていたのだが、山下監督のほうも、ちょうど映画祭で上映されたポン・ジュノ監督の『吠える犬は噛まない』を見て、主演女優のペ・ドゥナに目を留め、次回作にキャスティングできないかと思ったという。そこでポン監督の紹介でペ・ドゥナにオファーし、『リンダリンダリンダ』の主演が決まったという経緯があった。そんな出会いが生まれる瞬間を見ることが出来るのも映画祭に参加する醍醐味のひとつである。

延長戦コラム

蒼井優、友近らも注目の的に。釜山国際映画祭で日本映画のパーティーが大盛況

プサン映画祭で大きな注目を集めたパーティーのひとつに、チョン・ウソン、キム・テヒ主演のファンタジー武侠映画の『中天』があった。ステージが暑かったのか、舞台上のスターたちは挨拶が終わってフォトセッションの前にタオルをもらって汗を拭いていたのだが、このときさすがに女優のキム・テヒは後ろを向いて汗を拭くことに。するとチョン・ウソンがすかさず自分が盾のように前に立って、彼女の拭く姿を隠してあげたのが紳士的で優しかった。

日本映画も負けてはいない。今年は中日の夜に「ジャパンナイト」なるガーデンパーティーが開かれ、『フラガール』の蒼井優や『酒井家のしあわせ』の友近を初め、この日までにプサン入りしていた多くの監督、スターたちも勢ぞろいした。映画祭では一晩のうちでも様々なパーティーが開かれているので、どれだけの人が日本映画に関心を持ってくれているのか心配だったが、行ってみたら芋の子を洗うような人の多さにびっくり。200人規模を予定していたようだが、なんのなんのその倍ぐらいの人はいただろう。1作1作紹介されながら、ステージに監督、俳優が出て挨拶をする。きっとこの場でも俳優たちにとっていい出会いが生まれたのではなかろうか。

 

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