取材レポ・コラム
日本の芸能界志望者も学ぶことがいっぱい 韓国のオーディション番組
オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2006年8月号より(※掲載元の許可を得て載せています)
韓国の女性ボーカルグループJEWELRYのメンバーオーデションが日本国内でも行われているが、男性グループSHINHWAの第2弾を生み出すための大々的なオーディションが昨年韓国で行われた。その様子が「バトル神話」というテレビ番組となって放送されたということを以前のコラムで紹介したが、今回、そのオーデション過程をもう少し詳しくお伝えしたい。
1ヶ月に6人が生き残り、それを1期メンバーとして、2期、3期と6期まで繰り返されていく。月が更新されるごとにそれぞれの生き残りメンバーたちも新メンバーとともに再審査を受け、3人ずつが落とされ絞り込まれていく。参加者の内訳は13歳から27歳ぐらいまでで、18歳が一番多かった。最終的にはグループを結成するので、オーディション過程でも常にチームに分けられ、2週間のあいだで企画、演出も自分たちで考え、一般のお客を前に公開パフォーマンスを行う。時にはみんなで障害者施設にボランティア活動に行ったり、合宿をしたりとバラエティーにとんだ内容が紹介される。またそれを通してSHINHWAのメンバー1人1人が参加者のパフォーマンスをビデオで見てアドバイスが送られる。
「歌詞に込められた意味を理解して表現すること」「ダンスは強い目で観客をまっすぐ見るのが基本。目が泳いではダメ」「練習をすれば自信がつく。練習もせずに自信を持つのはただの無知。練習をしたという自信がとても大切」「失敗してもうまく立て直すのがセンス。もじもじせずに堂々と振舞うことが大切」「自分のルックスを磨くのも芸能人の能力。魅力を心得てそれを引き出すこと」「ダンスが下手でも、勝ち抜こうとする視線と表情でカバーできる」などなど。
こういうのを見ていると、現在第一線で活躍しているアイドルたちの能力はやはりすごいのだなあと実感。アドバイスの内容にしても、よく見ているなあというか、そういうところに気をつけてやっているのか、彼らは……といったことがわかるのだ。
中にはチームなのにダンスについていけない人が出て分裂したり、追い込まれてオーディションを放棄する人もいて、なんともドラマチックに進んでいく。そのうちにメンバーたちにファンもできたりして、「絶対に彼を落さないで!」のような嘆願が審査員のもとに寄せられる。
最後は大ホールでこれまでの練習の成果を審査員やファンに見せるひとりずつの大パフォーマンス大会が行われたのだが、驚いたのは、最初にオーディションを受けたときにはまだ頼りなさがあった候補者が、どんどん力をつけて、このラストステージでは堂々たるダンスと歌を披露したことだ。半年経っていないのにここまでになれるんだなあと感動したのであった。
番組を通じて求められていたのは、『謙虚さ』『体重、イメージ作りなどの自己管理』『自分だけの色を出せるように』などなどだが、中でも最重要だといわれていたことは『自信感を持つこと』だった。やはり自信を持ててこそ人の視線をひきつけることが可能になるのだ。最終的に選ばれた6人はその後も訓練を積み、今年中にCDデビューすることになっている。さらに実力をつけた彼らがどう成長してテレビに出てくるのか楽しみだ。