取材レポ・コラム

ドラマ、映画だけじゃない!? 06年は韓流ミュージカルにも注目

最近、韓国のエンタメをチェックしていると‘ミュージカル’の文字がよく目に入ってくる。歌手たちがミュージカルの舞台に出演するようになったり、またその逆で、ミュージカル俳優たちのドラマや映画での活躍ぶりが目立つようになってきたのだ。

まずミュージカル出身で映像の世界で活躍し出したスターとしては、以前もこのコラムで取り上げたことがある『マラソン』『ラブストーリー』のチョ・スンウが上げられる。

それに続けとばかりに頑張っているのが、日本でもゴールデンウィークに公開予定の映画『ダンサーの純情』のパク・コニョンだ。ダンスはダンスでも映画に登場するのは社交ダンス。そのプロという設定なので、この役を完璧にこなせる俳優が見つかるだろうかというのが制作側の悩みだったという。そんな時、監督が人の勧めを受けてパク・コニョンの主演するミュージカル『サタデーナイト・フィーバー』を見て、彼ならできそうだと思って抜擢した。実は、他のダンス経験の体のクセがかえって社交ダンスを習得するのに邪魔になったそうだが、特訓を重ねて見事に演じきり、大韓民国映画大賞で新人男優賞を受賞した。

ドラマ界では、『頑張れクムスン』のカン・ジファンが新星として注目を浴びた。子持ちの未亡人を好きになる医者の役で、スマートなかっこよさと、新鮮さが受け、また演技力も高い評価を受けた。制作者の声として記事になっていたが、なんでもミュージカルスターは、演劇出身者よりも、ダンスを日常的にやっているせいで身のこなしが美しく、洗練されたイメージで、華があってスマートなので、テレビには向いているのだそうだ。そういわれてみれば、なるほどという感じだ。


また歌手からミュージカルに挑戦した組としては、女性ボーカルグループ「FIN.K.L」のオク・チュヒョンや「S.E.S.」のシューなどがいる。オク・チュヒョンはもともとグループ内でもメインボーカルを担当し、歌のうまさには定評があった。しかし、ディズニーミュージカル『アイーダ』のオーディションは事務所にも内緒で受けたという。プロの歌手がなぜオーディションを受けるのかと怒られそうだったからだそうだが、そうまでしてもミュージカルに挑戦してみたかったという意気込みが感じられる。

演技初挑戦だったが、あるインタビューで、「どこに生まれながらのミュージカル俳優がいるでしょうか。だからこそ今練習しているのです。オーディションで選んでくれた人たちのことを信じます」と力強く語っていた。その甲斐あってミュージカルは大好評。ロングラン公演が行われている。

S.E.S.のシューはまず日本で『バッド・ボーイ・ザ・ミュージカル』でミュージカル女優デビューを飾った。これが大好評だったので、韓国版でも同じ役にキャスティングされ、日韓両国でミュージカル女優として活躍を始めている。

その韓国のミュージカル界だが、韓国でもミュージカルは盛況で、日本のようにブロードウェー作品や、ロンドンなどのヨーロッパミュージカルといった海外翻訳作品と、オリジナル作品が共存している。ミュージカル専門の劇団や制作会社も存在している。

日本でも韓国のミュージカル公演が頻繁に行われるようになってきた。有名なところではかつて、ソル・ギョングが出演していた『地下鉄一号線』もそうだし、昨年は『オールイン 運命の愛』や『シルミド』のホ・ジュノが主演の『ギャンブラー』の公演も行われた。まだいくつかの舞台しか見ていないが、印象的なのは、歌唱力の高さだ。

特に『ギャンブラー』を見たときには、ヒロイン、チョン・ソナの歌声に圧倒させられ、「すごい!」と鳥肌がたった。なんでも高校時代に主役に抜擢され、若手ではナンバーワンの歌唱力だという。

映画、ドラマに続いて、今度は韓国のミュージカルに目を向けてみてはいかがだろうか。

延長戦コラム

あの『冬ソナ』がミュージカルに。チュンサン役はWキャスト

今年日本で公演が予定されている話題のミュージカルをご紹介。まずは2月の雪祭りの季節に札幌で行われる『冬のソナタ』。20時間を2時間にまとめてあるのだが、様々な要素の中で、‘記憶’にコンセプトに絞って切ない物語に仕上げてある。出演者たちは、400人以上という、韓国でもめったにない大規模なオーディションが行われ、実力派キャストが集まった。ペ・ヨンジュンが演じた主役のチュンサンはダブルキャストで、アメリカの大学院で声楽を学んだポペラ(ポップスとオペラを融合させた音楽のジャンル)で活躍しているイム・テギョン。もう1人が、2年ほど日本の劇団四季で活動し、『コーラスライン』『ジーザス・クライスト・スーパースター』などで主役を演じたコ・ヨンビン。そして、コラムでも紹介したチョン・ソナがダブルキャストのチェリン役で出演する。おなじみの曲に加えてミュージカル用に作られたメロディーも美しく、『冬のソナタ』の世界を十分に堪能できるだろう。

もう一本は、チョ・スンウ主演の『ジキル&ハイド』。2004年にチョ・スンウがミュージカル大賞の主演男優賞を受けた大人気作品だ。こちらもダブルキャストで、

ミュージカル界の実力派の新星リュ・ジョンハンも出演する。