取材レポ・コラム

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オーディション番組の登場

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2005年11月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

韓国でも日本と同様に、新人歌手たちはほぼオーディションを経て、そこに合格してからトレーニングを積んでデビューに至る。の割には、これまで日本でいう『スター誕生』というか『ASAYAN』のような番組は無かったように思うのだが、そんな中で、韓国のトップグループ、SHINHWA(神話)の弟分を発掘しようというスーパースターオーディション番組がこの春から登場した。

これは、m-netという韓国の有名ケーブルテレビ局がSHINHWAの所属事務所と共同で行っているプロジェクトで、SHINHWAのメンバーたちも積極的に番組に参加している。この番組『バトル神話』は、日本でもso-netチャンネル749で9月から放送が始まっているので、韓国のオーディションに興味がある人は是非ご覧いただきたい。


内容としては、毎月一回ずつ歌手志望者のオーディションを行う。審査の内容は、歌やダンスはもちろん、演技も求められる。メンバーからミッションが下され、それを見事こなしていかねばならない。それを何度か繰り返し、それぞれの回を代表する6人の候補者たちが最終選抜に参加する。4月末から始まり、11月までの全27回の放送を通して最終的にはSHINHWAと同じ6人が選ばれ、賞金1億ウォン(約1000万円)が渡されるとともに、来年のデビューが約束されるという。番組では、熾烈を極めるオーディションの過程と共に、SHINHWAのメンバーたちが、それぞれ得意としているダンスやボーカルなどについて候補者たちの長所や短所を指摘したり、アドバイスを行って行く様子が放送されるのだ。

ちなみに5月は、150人の中からまず30人が選ばれ、インターネットとモバイルでの投票を通じて12人を選抜。その中から一期生の最終候補者として6人が誕生した。

この8月にこの番組の収録をかねてのイベントが東京で行われ、SHINHWAのメンバーの一人アンディが6人の候補者を連れて来日した。6人とも背が高く、すでにかわいカッコいい男の子たちばかり。日本の観客たちの前で「SHINHWAのヒット曲を見事に歌って踊ること」という司令をこなすのだが、リハーサルの段階から一生懸命さや必死さ、そして何よりも緊張感が伝わってきた。挨拶もすがすがしく、若いっていいなあと思えた瞬間だった。彼らもすでにレベルが高いのだが、同じような候補者がまだ何組もいるのだ。層が厚いと思った。

オーディションといえば、すでに日本デビューを果たしているSE7ENもかつてはやはりこうした事務所主導のオーディションを通じて選抜されたひとり。だが、彼の場合は中学3年のときに合格したが、その後デビューまで4年をかけた。SE7ENの事務所は元々人気歌手だったヤン・ヒョンソクというアーティストが代表を務める会社なのだが、その彼のマインドが、「歌手になる前に人間になりなさい」という事だそうで、最初の一年はもっぱらレッスン室の掃除をやらされたそうだ。そして自分なりに練習して毎週月曜日に社長立会いのテストがあって、どのくらい上達したか、そのくらい一生懸命に努力する人間かが常に試されたという。なので、練習生当時は学校の授業が終わるやいなや事務所に行って掃除して、夜中の4時~5時まで練習。だから学校ではいつも寝ていたのだとか。

レッスン中には他の会社からスカウトが来た事もあるそうで、3ヶ月や6ヶ月でデビューさせるからという甘い囁きをする会社もある中で、自分のやりたいスタイルを貫けるのは今の事務所しかないと思いひたすら練習に明け暮れた。なのでデビューしたときにはすでに完成されたレベルの高い実力を備えていた。

オーディションに合格するのはもちろん大変難しいことなのだが、息の長い歌手として活躍するためには、そこからまたデビューするまでにも時間と労力が必要になるのだ。

 延長戦コラム

日本式の写真撮影に慣れないスターたち!?

来日スターが多い昨今、映画のプロモーションで来る場合でも、滞在期間は短いのにも関わらず取材を希望する媒体が多い場合は、合同インタビューと言う形になるのが一般的だ。5~10社ぐらいで30~40分という感じになるのだが、このとき、韓国スターがどうにも戸惑うことがある。それは写真撮影だ。

日本は10社なら10社ともがそれぞれに専門のカメラマンを雇って独自の一枚にこだわって掲載する。なので、合同取材のときも、1社につき2分ずつくらいの時間が与えられ、それぞれのカメラマンがそれぞれの背景や色を考えた場所を作ってスターがそこを順番に回って撮影して行くのだ。この形態は韓国ではあまりないらしく、スターにしてみれば、どうせ同じようなポーズをとるのだから、記者会見のように、自分が一箇所でポーズをとったものをみんなで撮ってくれればいいのにと思うらしい。どんなに小さい写真でも独自性で勝負しようという日本の雑誌のこだわりが韓国の人にも浸透するのはいつになるだろうか。