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韓国スターのファンサービスとは…

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2005年3月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

韓国スターが熱狂的に愛されている理由のひとつに、ファンに対する丁寧で誠実な振る舞いというのがあげられる。全般に、韓国俳優のファンとの接し方は日本よりも距離感が近いように思う。2004年は大勢の韓国スターたちが来日し、その模様がテレビでも放送されたので、その様子を目の当たりにした人も多いと思うが、「ここまでやるんだ」と正直感動すら覚えることもあった。

例えば、代表的な例がペ・ヨンジュンだ。2003年の11月に行われたペ・ヨンジュンとの集いツアーで、900人の日本人ファンが韓国に集結した。そのときペ・ヨンジュンは事前にツアー参加者の名簿を送ってもらい、当日までにファン一人一人の名前入りで、自分のブロマイドにサインを書き上げたのだ。そして当日も集合写真を撮るというだけの予定だったのに、3時間近くもかけて一人一人と握手すると言い出して実行したのだ。

昨年11月に来日したときのことも記憶に新しいだろう。成田空港でのお出迎えに対して丁寧に何度もお辞儀をし、ゆっくりと歩きながら時間を掛けてファンの前を通るペ・ヨンジュンの姿に、丁寧で誠実な印象を受けた人は多いと思う。


またニュースにもなった、ホテルを出るときに警備との打ち合わせとは違う正面玄関から出ようとしてファンらが転んで怪我をしたときも、ファンの前になるべく出させないようにする警備陣とのあいだで揉めても、「徹夜してまで待っていてくれるファンにせめて会釈でもするべきだと思った」との気持ちで強行突破をした。結果的に現場は混乱してしまったが、ファンを大切にし、少しでも喜んでもらおうとする気持ちは十二分に伝わってきた。これが‘情’の国の韓国人気質というか、韓国スターの心情としては、当然のファンへの礼儀らしい。

昨年末に来日してファンの集いを行った『ホテリアー』『新貴公子』のキム・スンウも、日本のスタッフが人数的に無理だと止める中、皆さんの愛に対し、自分ができることはこれくらいだからといって、1500人ものファン全員と握手を敢行した。

若手でもそうだ。ドラマ『バリでの出来事』や映画『ラブストーリー』のチョ・インソンは、ファンミーティングでのサービス精神がすごかった。700人ものファンを前に、自らステージを下りてファンのそばにまで行こうとするし、舞台に上がらせたファンをステージ袖までお見送りしてあげる。できるだけファンの思いに答えようと一生懸命に振舞っていた。このあとに行われた記者会見でも、お金と時間と労力をかけて僕に会いにわざわざ来てくれているのだからファンの思いに答えてハグしてあげたりするのは当然やるべきことだと思うと語っていた。

また『ロマンス』『マイラブパッチ』などのキム・ジェウォンもファンへのご挨拶のためにと、とっても長いセンテンスの日本語をしっかりと覚えてきて、ファンを感動させた。

韓国では、礼儀を重んじる儒教社会ならではなのかもしれないが、俳優は公の人なのだから、青少年の見本になるような立ち居振る舞いが期待され、求められる。当の俳優たちもその責任感を持って行動している。だから、‘破天荒’だったり、芸の才能は天才的なんだけど、言動はいただけないというようなハメをはずすタイプの芸能人はほとんど見かけないのだ。そうした姿勢がファンとの対応にも自然とにじみ出てくるような気がするのである。

延長戦コラム

ファンミーティングというのは、スターと、そのファンとが集まって触れ合いをもつイベントのこと。韓国ではそれぞれのスターのファンクラブが主催して1年に1度か、または数度ほど交流を持つのだが、そうしたイベントに参加する韓国人ファンはだいたい10代~20代と若い。それに韓国の人は素人といえどもみんなタレント気質を持っているので、物怖じせず、積極的にステージにも上がるので、内容も、ファンが舞台上でスターに自分の特技を披露したり、ダンスコンテストをしたりといったアクティブなものが非常に受けるのだ。

2004年は韓流ブームを受けて、日本人向けの様々な韓国スターのファンミーティングが行われた。私もいくつかのファンミーティングで司会を担当したのだが、イベントにおける日韓の差が感じられて面白かった。例えば日本では韓国スターのファンは20代~70代ぐらいまでと年齢層が非常に幅広い。だいたいが落ち着いたいい大人である。なので韓国スタイルのファンミーティングをそのままやろうとすると、少々無理がある。昨年は主催側も参加するほうも様子を探りながら日本スタイルのファンイベントを模索しているという感じがあったが、今年は双方共に慣れ、もっと多くのファンイベントが行われることだろう。