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人気ドラマに見る人気が出るパターンとは?

オリコングループ発行「月刊デ・ビュー」2004年5月号より(※掲載元の許可を得て載せています)

韓国ドラマへの急激な人気の高まりを受けて、『冬のソナタ』が4月3日からNHK地上波で放送されるが、衛星放送でも数多くの韓国ドラマが放送されるようになった。こうした韓国ドラマでは、主役以外の助演者が人気が出る、注目を受けるパターンというのがある。

第一は悪役をやること。『冬のソナタ』でもヒロインに恋人を取られまいと、あの手この手でヒロインを陥れる嘘をつく女性が出てくる。派手な化粧をし、クルクルカールの髪型で、いかにもという感じの意地悪役は、見ていると腹が立つことこの上ないのだが、終盤には、彼女の片思いの気持ちにも共感するところが出てきて憎めなくなってしまった。韓国ドラマに出てくる悪役は、そうせざるを得なかった気持ちまで丁寧に描かれるので最後にはどこか同情できてしまうからなのかもしれない。


演じているパク・ソルミはこの意地悪役で注目され、今ではすっかり善い人の役をやるようになっている。4月からNHKBS2で始まる『オールイン運命の愛』では、今度はホテルオーナーの娘で、ヒロインのよき友人として出演しているし、映画のヒロインにもキャスティングされている。

アナウンサー界を舞台にした『イヴのすべて』で、目的のためには手段を選ばない徹底的な悪女を演じたキム・ソヨンは、ドラマ放送中は「嫁にしたくない女ナンバーワン」に選ばれたりもしたが、そのあまりにもすごい悪い女ぶりが世間を賑わした後は、やはり今度は意地悪をされるヒロインとして、明るくすがすがしい女性を演じるようになった。

映画『ボイス』で謎を解いていくヒロインに扮したハ・ジウォンも、『秘密』というドラマですさまじいまでの嫌な女性を演じて以降ブレイクし、今ではすっかり一番人気の若手女優の地位についている。このように韓国では、特に女優は、悪役をやると人気が出るというのが定説になっている。悪役の存在こそがドラマを引っ張り、その思い切った演技力によってドラマが面白くなるからだ。

第二は主役の子供時代を演じることだ。韓国ドラマはミニシリーズでも20話前後、長いものになると50話から100話以上になるものまである。そうなると、日本の大河ドラマのように、おのずと初回は子供時代、青年時代が描かれ、真の主役が登場するまで物語を引っ張っていくことになる。あまりにも子供だとそのまますぐブレイクするのは難しいが、もう少し大人の青年時代を演じるぐらいの年齢の若手俳優たちが勝負どころとなる。

例えば、それで注目されたスターとしては、韓国映画史上最大の製作費をかけて作られた朝鮮戦争を舞台にした超大作『ブラザーフッド』で、紅一点として主役チャン・ドンゴンの婚約者を演じている女優イ・ウンジュがあげられる。彼女は今から6年前に『白夜』という、核兵器をめぐって、ロシア、韓国、北朝鮮3カ国が絡むスケールの大きいドラマでヒロイン、シム・ウナの少女時代を演じている。北朝鮮からロシアに亡命を図って生きていくという劇的な役どころで、たった1話だけの出演にもかかわらず、「シム・ウナの子供時代を演じた少女」と呼ばれ、存在を印象付けることに成功した。

『秋の童話』でも、ヒロインの子供時代を演じたムン・グニョンの、あどけない、いたいけさが魅力的で、彼女はその後も引っ張りだこ。現在『マイ・リトル・ブライド』という映画で、高校生で結婚するというロマンチィックコメディーのヒロインになっている。ドラマの青年・少女時代は純粋無垢なエピソードが描かれるのでそれだけ視聴者にとっては思い出に残るものとなるのだ。