取材レポ・コラム

夢友『チョ・ヒョンギュン&イ・チュンジュ コンサート』

※左がチョ・ヒョンギュン 右がイ・チュンジュ

 

7月14日に行われた
チョ・ヒョンギュンとイ・チュンジュによる夢友コンサート。

チョ・ヒョンギュンさんは、
『サリエリ』でのジェラシーを具現化した役で強烈な印象を残した俳優で、
かと思うと、
『女神さまが見ている』で来日公演した時には繊細な歌い方と演技が
とてもよかったので
その後もずっと注目しているのですが、
スケジュール的になかなか彼が出演する日の舞台を見る機会がなくて
しばらく演技する姿を見られていないのですが、
この夏も『ロッキーホラーショー』、そして『ヘドウィグ』にも
キャスティングされて、着々とステップアップしている人です。

イ・チュンジュさんは、私は『シャーロックホームズ』での
一人二役的な物語のカギを握る人物役で
大注目するようになったのですが、
ちょっと怪しげな色香を放つ魅力で、
『ママ・ドントクライ』でのドラキュラ伯爵や、
昨年は『ノートルダム・ド・パリ』のフェビュス役を担い
歌の上手いイケメン枠の一人ということで
これからもっと人気が出そうな人です。

で、コンサートは、
こんな二人が時間をかけて準備したのであろうなということが
感じられる、とっても充実した、
韓国ミュージカルファンには嬉しいコンサートでした。

私は夜の部しか行けませんでしたが、
昼の部も夜の部も充実のセットリストで
特に韓国の才気あふれる創作ミュージカルが好きな人たちには
たまらない曲ばかりだったのではないでしょうか。

で、私が見た夜の部ですが、
まずは2人による
『ノートルダム・ドパリ』からの
「フィレンツェ」という曲で始まりました。

『ノートルダム~』にはイ・チュンジュさんが
ヒロインを裏切る色男な悪い奴という役柄で昨年出演していましたが、
いつかは、これまた悪い奴ですが、
フロロ神父の役をやりたいのだそう。
で、ヒョンギュンさんには詩人のグランゴワール役が
似合うんじゃないかなと言ってました。

ヒョンギュンさんの1曲目は、
『小人たち』から「お姫様に会えば」。

実際の舞台でのように、
両膝をついて小人のようになって歌ってくれました。

イ・チュンジュさんは
『死の賛美』から「あの海に書く」。

ヒョンギュンさんは
日本でも公演された『ゴッホ』の「終わらない苦痛」

チュンジュさんは
『ノートルダム・ド・パリ』から「苦しい」
をそれぞれソロで歌いましたが、
実際に演じている自分の持ち歌なだけに
入り込み具合も半端なく、
一気に作品世界に連れて行ってくれる歌唱っぷりです。

ヒョンギュンさんが
「コンサートだから歌唱力を重視するべきなんだけど、
やっぱり出た作品だと役を演じるように集中してしまいますね」
と言っていて、
私はむしろ歌唱力以上に役になって歌ってくれた方が
伝わってくるものが強くて好きなので
嬉しかったです。

そして話は2人が今年2月から4月にかけて共演した
『ザ・デビル』の話になり、
2人にとって初めてミュージカルで共演した作品だったそう。

 

『ザ・デビル』はゲーテの「ファウスト」をミュージカル化した
韓国のオリジナル作品です。

2014年の初演時は、
全てを失い挫折したジョン・ファウストと、彼を誘惑するX、
そしてファウストの恋人の3人芝居でしたが、
今年の再演ではそのXを、善を象徴するホワイトXと悪を象徴するブラックXに分けて4人芝居になりました。

それで、ヒョンギュンさんはホワイトX、
チュンジュさんはブラックXだったのですが、

イ・チュンジュさんは
「ヒョンギュンさんはアイデアバンクのような方で、
たくさんの感動をもらえたかっこいい俳優です。
僕は初演にも出ているので、ある程度絵が見えていましたが、
その型を破ってくれたのがヒョンギュンさんです」

と褒めると、

「初演ではXが一人だったけど、
再演ではホワイトとブラックに役が別れたので、
一人の分量が減るじゃないですか。
僕はホワイトXなので生き残らなければならなかったから、
もっと説得力を持ってアピールするべきだと考えたんです。
またそれでこそブラックXの妥当性が出て来ると思いました」

と役作りに関して熱く語り、

「俳優同士、共演していて微妙な神経戦があるんです。
それぞれキャラクターに対する考え方がありますから。
でもチュンジュはその方向性をサポートしてくれるんですよ。
僕は、相手の演技を上手く受け止めて演じられる人が
本当に演技が上手い人なんだと思いますが、
チュンジュはスポンジみたいですよ」

と演技論も含めながらチュンジュさんのことを褒めて

「『ザ・デビル』をしながら、
僕ら2人は最高のケミ(相性)だったと思います!」

と強調していました。

 

そしてその『ザ・デビル』から2曲、
実際の舞台とはキャラクターを反対にして歌いました。

実はチュンジュさんはジョン・ファウスト役を演じたいのだそう。
でも事務所から
「お前は何があってもブラックじゃなきゃダメだ」
と言われてしまうのだとか。

それを聞いてヒョンギュンさんは、

「チュンジュはこんなにスーツが似合うんだもん、やはりブラックだよ。
見た目もあか抜けて本当にかっこいい役だから。
でもイメージはブラックだけど実際はいい人!
実は僕の方がずっと腐ってます(笑)」

と言って笑いを取っていました。

 

 

その後、事前にもらった観客からのアンケートからのナンバーを披露。

イ・チュンジュさんが
『ロックオペラ・モーツァルト』の「悪の交響曲」
『キンキ・ブーツ』の「Hold me in your heart」

ヒョンギュンさんが
『デスノート』の「ゲームの始まり」
『ニューシーズ』の「サンタフェ」

そしてここでイ・チュンジュさんが、
昼公演で好評だったという日本語の曲を急きょ追加して、
五輪真弓の「恋人よ」を日本語で歌ったのですが、
これがすっごく良かったです。

なんでも小さいころから、
お父さんが好きで歌っていたのを聞いて育ったのだとか。
それだけに年季が入っている感じで心にしみました。

最後はヒョンギュンさんが
「日本から韓国まで公演を見に来て下さるのがどれだけ大変かわかていますので、
皆さんの気持ちを忘れずに最善を尽くす俳優になります。
これからもたくさん期待してください」

イ・チュンジュさんも
「僕も同じ思いです。
公演を一生懸命に頑張ることと感謝の言葉しか伝えられないのがもどかしいです。
そして
「僕は夢があります! ずっと思っているけどまだ成し遂げられていません」

と前置きして

「日本で長期間にわたって俳優活動をしたいと思っています」

と言ってました。

チュンジュさんはお父さんの仕事の関係で日本生まれで、
日本語も勉強中で少ししゃべれるので
これからの頑張り次第ではその夢の実現も近いのではと思いました。
なんか、日本人好みのタイプなんですよね。
歌声も日本語で歌うとより優しく甘く聞こえますし。

なんといっても彼は女性がキャーッと言いたくなる
妖しげなカッコよさ、華と、歌のうまさがある人ですから、
日本との良い出会いがあるといいなと願うばかりです。

 

今回見ていて、
チョ・ヒョンギュンさんは
なにかを乗り越えるべく切実になっている感じの掻き立てる系の歌声で、

イ・チュンジュさんは、割と楽々と歌っている天才肌のイメージのスマートさが
感じられ、バランスのいい取り合わせのお二人だったなあと思いました。

 

 

せっかくなので、夢友さんから頂いたセットリストを
全部載せておきますね。

<昼の部>
01)女神さまが見ている (チョ&イ)
02)私があなたのそばでちょっとだけ生きていたことを (チョ)
03)私が歌う歌 (イ)
04)きれいだよ (チョ)
05)お蝶 (イ)
06)Best kept secret (チョ&イ)
07)Big Time (チョ&イ)
08)X (チョ)
09)Gudian Angel (イ)
10)Regin Of Darkness (チョ&イ)
11)wig in a box (チョ)
12)生きていれば (イ)
13)恋人よ (イ)
14)闇が広がる (チョ&イ)

アンコール)世界中の誰よりきっと (チョ&イ)

 

《2回》
01)フィレンツェ (チョ&イ)
02)お姫様に会えば (チョ)
03)あの海に書く (イ)
04)終わらない苦痛 (チョ)
05)苦しい (イ)
06)X (チョ)
07)Gudian Angel (イ)
08)Big Time (チョ&イ)
09)悪の交響曲 (イ)
10)The game Begins (チョ)
11)Hold me in your heart (イ)
12)SANTA FE (チョ)
13)闇が広がる (チョ&;イ)

アンコール1)世界中の誰よりきっと (チョ&イ)
アンコール2)Regin Of Darkness (チョ&イ)

 

夢友コンサート、次回は9月22日(金)
カン・ピルソク&チョン・サンユン です。

カン・ピルソクさんは
昨年秋に開かれた
イェグリンミュージカルアワードで主演男優賞を受賞した貴公子スター。
チョン・サンユンさんは、私は『ポー』での悪役っぷりが忘れられないのですが、
ズドーンと底に響くような迫力ボイスで、
現在も『ナポレオン』で
ナポレオンを利用していく政治家を毒々しく演じるなど、
歌うま揃いの楽しみな組み合わせです。

 

以下プレスリリースです。

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『カン・ピルソク&チョン・サンユン コンサート』
【日時・会場】
■2017年9月22日(金)
1回(昼) 14:30/ 2回(夜)18:30(両公演とも30分前開場)
■スクエア荏原・ひらつかホール
東京都品川区荏原4-5-28

【チケット販売】
■詳細はオフィシャルサイトまで→→→http://www.yumetomo.info/kang-jung
【チケット料金】
■先行予約9,000円(定価 9,500円)
1回+2回スペシャルパッケージ(特典付き)17,000円
※1公演お一人様4枚まで、最大2公演8枚までご購入いただけます。
※全席指定・税込
※就学児童以上はチケットが必要
【主催/企画】 夢友

 

2017年7月29日執筆記事