取材レポ・コラム
『王は愛する』撮影現場リポート② ワン・ウォン(のちの忠宣王)役のイム・シワンインタビュー
7人ほどの取材者が待ち受ける中、にこやかにインタビュー場所に入ってきたシワン。
「どうジョ、よろしくお願いします」
という日本語の挨拶でインタビューが始まりました。
――『王は愛する』に出演した理由についてお聞かせください
今まで忠宣王(チュンソンワン)を扱ったドラマがなかったのでとても興味深かったことと、ユナさんと共演できると聞いたからですね。それが一番の大きな選択理由です(笑)
――どうしてユナさんとやってみたかったんですか?
可愛いいじゃないですか。正直その部分が大きいですよ(笑)。
一番初めにキャストとして決まったのが僕でした。その後ユナさんの出演も正式に決定したと聞いた瞬間、すべてを勝ち取った気持ちになりました。僕の願った通りに事が運んでいるなあと(笑)。
と、のっけから笑いを取ることを忘れないシワン。まあ、笑わそうというよりも、飾ることのない男子としての素直な心情を照れることなく告白したというべきか(笑)。でもそんなところに彼の余裕とユーモアを感じました。
――台本を読んだときの印象は?
また、監督や作家とご自身の演じるキャラクターについてどんな話をされましたか?
ウォンという人物は、現代においてこのような人生を歩む人がいるのだろうかと思うほど多彩な生涯を送ったようです。そんな人生を歩む人の心情はどんなものだったのか、と考えたらとても興味が湧きました。そしたら彼がとても魅力的な人物に見えて、ぜひ演じてみたいと思ったんです。演じてみて思ったのですが、人は常に一つの感情だけではなく色々な入り混じった感情を抱きながら生活しています。僕にもあるそのような感情をもっと感化させ大きく膨らませられれば彼を演じられるのではと。
――作家や監督とどんな話をしましたか?
作家や監督も、ありのままの僕でいいと言ってくれました。逆に僕の演技から何かヒントを得ようとしていました。
そして監督からはキャラクターの性格や情緒がすごく変化するので、台本を先読みするなと念を押されました。そのため、忠宣王(チュンソンワン)については歴史の本を読んで、彼の生い立ち、家族構成やら彼が行ってきたことなど大まかなことは知っていますが、撮影分の台本しか読んでいませんし原作も読んでいません。原作も素晴らしいですが、それとはまた違う意味で良い作品になるだろうなと思っています。
――『太陽を抱く月』以来の時代劇ですが、撮影を始めてみていかがでしたか?
また、現代劇と比較すると何が違いますか?
現代もののドラマと時代劇の違うところは、韓服の中に防寒着を重ね着するということですね(笑)。今では、発熱効果がある衣類にはどんなものがあるかを研究するほどです。(一つ一つ実際にちらりと見せてくれながら)発熱効果の高いインナー、ベスト、靴下など今回はたくさん準備してきました。
――演技的なことは(笑)?
もちろん、演技やアクションの練習などいろいろと事前準備をしましたが、防寒着の準備は怠れません(笑)。1に防寒、2に防寒(笑)、演技をする上で暖かくないと何もできないじゃないですか。僕はとても寒がりなんですよ。皆さんが思っている以上に、これってとても大事なんですよ!
――その防寒対策は効果ありますか?
(日本語で)コウカあります(笑)
乗馬やアクションの練習はもちろんしましたけど、あまりにも当たり前のことなので敢えて自分から言う必要もないかなと思って言いませんでした。乗馬は今回が初の経験ですが、運動神経はまあ普通ですね(笑)。
防寒対策について熱弁をふるうシワンがなんかおかしくて。でも寒くては何も始まらないというのは極寒の韓国ではまさしくその通りだなと思ったのでした。
――今回の役は、愛、嫉妬から最後は破滅へと向かう難しい役作りだそうですね。
ラブストーリーに関して僕が今のところ知っているのは、ウォン、リン、サンの三角関係です。一般的な男女のラブではなく、男と男のブロマンスでもあると聞いています。僕の中でより重要になってくるのはむしろウォンとリンの男同士の関係ですかね。サンとの恋愛よりもリンとの関係がより愛しいものになっていくのではと。結末はまだわかりませんが。
――事前制作についてどう思いますか?
ドラマの事前制作は初めてのことで、撮影しながらいろいろなことを感じ取っている最中といった感じでしょうか。でも映画は事前制作ですよね。普通の(事前制作ではない)ドラマとの撮影の違いは、ドラマは撮影中に視聴者の反応や反響によって、キャラクターや結末を変えることが可能です。一方で映画は結末まできちんと理解し安心して演技することができます。そういった意味で、今回は映画に近い感じですね。
――今までの撮影の中での心配事や大変だったことは?
これだ、という心配ごとは特にありません。役者としてどう演じるか、ですとか、その都度感じる心配や悩みはもちろんあります。演技に限ったことではありませんが。心配事ができたら自分なりにどうにか対処しますよ。先ほども言いましたが、僕の中で一番大変なことは寒さとの戦いです(笑)。
――ユナさんやホン・ジョンヒョンさんの第一印象は?一緒に撮影してみていかがでしたか?現場の雰囲気は?
ユナさんは、歌手活動の最中、挨拶を交わすぐらいで、印象としてはかわいいなと思っていました。共演してみて思ったのは、思っていた以上にかわいらしい人だなと(笑)。顔ももちろんですがハートも優しいですね。
みんなとは他愛もない話からはじまって、ジョンヒョンさんは車に乗るのがすごく好きなので、時間があるとき一緒にドライブ行こうと誘って、寒空の中、ドライブ行ってコーヒー飲んで、ご飯食べて、そんな風にして親しくなりました。ありがたいことに二人ともみんなと仲良くしようと接してくれので、すぐに打ち解けましたね。
――元々自分から親しくなりに行く方なんですか?
いえ、僕はもともと人見知りする方なんですが、早く親しくなろうと努めました。ギクシャクした関係だとそれがそのまま演技に出てしまいますしね。
親しい関係でもないのに、カメラが回ったとたんに「1、2、3、さあ僕たち親しいよ~」なんて風には演技できないじゃないですか(笑)。だからお互いに良い関係を作ろうと努力します。
――済州島での撮影はいかがですか。印象的な場所などはありましたか?
済州島は寒いけれどソウルに比べれば暖かくて幸いです(笑)。東京から沖縄へ来た感じに似ているんじゃないでしょうか。
済州島に来てからは、ジョンヒョンさんと一緒にゴーカートを乗りに行きました。いくら撮影が忙しくて疲れていても遊びも必要かなと。しかし、いざ撮影が始まると忙しくて行きたい場所へいけません。そんな中、撮影現場のすぐ近くにカート乗り場があったので、すぐに行きました(笑)。他には釣り、射撃、カラオケなどやりたいことは多いのですが、まだ唯一カートだけですね。
――今後演じてみたいキャラクターやジャンルなどお聞かせください。
特にこれといったものはありません。常に心をオープンにして作品に向き合おうと思っています。自分がやりたいと思った作品ならジャンル問わずやってみたいですね。僕が選択するよりも役者としてニーズがある以上やりつづけるのが今の僕の目標です。
自分がやりたい作品は、良いと感じた作品ですが、良い作品とは何であるかはまだ自分の中できちんとした定義がされていません。どちらかと言えばその時の自分の価値観で作品を決定しています。あるときはラブストーリーに嵌ったり、ふと時代劇に興味が湧いたりしたらその出演オファーを受けますね。その時ごとの感性を大事にしています。
――俳優として、今までの作品とはこの作品は手ごたえ違うなとかありますか。
僕にとってはすべてのドラマが大切です。
最初にドラマを始めた時も、今も、これからの作品もずっと大切なので、
今作もその重要な作品の内の一つと思っています。
僕が常に肝に命じているのは責任感を持つということです。
このキャラクターの主人は、僕だ。そう思って常に、役についています。
――最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
この作品の魅力は、今まで一度も取り上げられることのなかった歴史上の人物、忠宣王(チュンソンワン)を扱ったことです。彼が辿った数奇な人生がとても魅力的だったこともあり、ぜひ自分が演じてみたいと思い出演を決めました。彼はどんなことを思い、感じ、行動するのかがとても興味深く、視聴者の方も楽しめるドラマだと思います。ぜひご覧ください!
――一番重要なポイントは王のキャラクターなんですね?
『王は愛する』というタイトルの王ですからね(笑)。
インタビューを終えて去り際に
「またお会いしましょう。あけましておめでとうございます。
僕はアイドルです。日本語、少し勉強しました」と日本語でお茶目に挨拶していってくれました(笑)。
シワンに対するイメージは、会う前までは、『ミセンー未生ー』のキャラクターのようなおとなしい草食系の男性かと勝手に思っていたのですが、インタビューしてみると、ざっくばらんにユーモアも交えながら堂々と話をする活発な印象を受けました。静かではあるけれど活力に満ちているという感じ。何よりもほのかな色気があるんですね。もう立派にこの撮影現場の座長の風格が漂っていました。目ジカラがあって才気走っていて、ああこれは草食ではないな(笑)と、いい意味で印象が激変したのでした。
このページトップの写真を見てください! 時代劇の髪型と衣装に身を包んだシワンは本当に妖しいまでに美しくて、しかも劇中で一筋縄ではいかない悪い男の魅力も見られるかと思うと、ドラマの放送が今から待ち遠しいです。
『王は愛する』撮影現場リポート③
ヒロイン、ワン・サン役のユナ インタビュー に続く
2017.2.19執筆
※衛星劇場で8月1話先行プレミア放送。9月より本格放送スタート!
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