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春夏秋冬そして春

『春夏秋冬そして春』は、1人の男の人生を、美しい四季の風景に重ねて描いた作品です。

山あいの湖に浮かぶ小さな庵。そこには老住職と幼い子供の僧が暮らしています。その無邪気な幼な子が成長し、17歳になって恋を知り、寺を去って、青年となって戻り、そしてまた年を重ねた大人となって庵に住み着きます。

一人の人間が年月を経ていく中で、転機となる出来事を、春、夏、秋、冬といった四季の移ろいと重ね合わせて描き出していきます。

キム・ギドク監督といえば、それまでの作品は、人間の奥底に潜む欲望や怒り、残酷さをフィルムに映し出し、過激とか衝撃的と評されることが多かったのですが、本作では、ドロドロとした垢のようなものをそぎ落とした、穏やかな季節と人の営みの中に、哲学的な思想、東洋的な美しさを込め、新境地に挑んだといわれました。

少年役を『トンマッコルへようこそ』のソ・ジェギョン。青年役は、キム・ギドク監督の『受け取り人不明』でデビューしたキム・ヨンミン。老僧を演劇界の実力派俳優オ・ヨンス、そして冬の場面を、キム・ギドク監督自身が演じています。

 

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