映画解説
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タイトル | クライング・フィスト 泣拳 |
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韓国公開年 | 2005年 |
出演者 | チェ・ミンシク リュ・スンボム イム・ウォニ ピョン・ヒボン ナ・ムニ |
監督 | リュ・スンワン |
【 映画紹介 】
『クライングフィスト』は、人生のやり直しをかけてリングに上がった2人の男の姿を描いたヒューマンドラマです。
90年のアジア大会でボクシング銀メダリストのカン・テシク(チェ・ミンシク)は、40歳となった今では過去の栄光もむなしく事業に失敗し、借金返済のために、うっぷんがたまった人たちに殴られてやるという殴られ屋となっています。
一方、夢も希望もなく、ケンカに明け暮れるすさんだ毎日を送り、ついにはお金に困って強盗を働き少年院送りとなってしまった19歳のサンファン(リュ・スンボム)。
年齢も状況も異なる2人ですが、どん底を経験し、再生したい、生まれ変わりたいという切実な思いから、それぞれがボクシングの勝負に自分の人生の再起をかけていきます。
監督は『ARAHANアラハン』『相棒』などで知られ、韓国のタランティーノと呼ばれているリュ・スンワン監督です。スタイリッシュなアクション描写に定評のある監督ですが、今回はスタイリッシュさを排し、極限状態に追い込まれた人間の、リアルな熱い感情を描いた感動の人間ドラマとなっています。
このままではいたくないという体の中から湧き上がる人物たちの熱い思いが画面からみなぎって、その切実さに思わず熱い涙がこみ上げてくるでしょう。
主演はチェ・ミンシクとリュ・スンボムのダブル主演。共演といっても2人は最後のリングの上での勝負以外は交わることがなく、それぞれの生き様が交互にオーバーラップしながら、最後にぶつかり合うという構図になっています。
新旧の個性的演技派俳優同士の対決でもあります。
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戦い終わってその結果がどうであれ、2人とも、自分にとって、そして大切な家族にとっての誇らしい人に戻れたという熱い感動が伝わってきました。
実は2人の主人公にはモデルがいました。特に殴られ屋のほうは新宿歌舞伎町で殴られ屋をやっていた日本人の晴留屋(はれるや)明氏で、韓国のドキュメンタリー番組で紹介されたこの人物に興味を持った監督が作品のモチーフにしたのだそうです。
クライマックスのボクシング対決は、リアルさを追及するために、リハーサルも、段取りに乗っ取ったアクション演技も排除し、全体的な設定だけを決めて、実際に死闘を繰り広げたそうです。そして、チェ・ミンシクはあばら骨にひびが入る大怪我を負いながらも撮影が終わるまで演技し続けたということで、そのすさまじいプロ根性には頭が下がります。