映画解説

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タイトル 空と海
韓国公開年 2009年
出演者 チャン・ナラ ユ・アイン ヒョン・ジュニ
監督 オ・ダルギョン

【 映画紹介 】

『空と海』は、25歳なのに6歳の精神年齢という少女を巡るハートウォーミングな友情の物語です。

大人なのに精神年齢は6歳のままという少女ハヌル(チャン・ナラ)。彼女は何年か前の出来事でも日付までしっかりと記憶していたり、バイオリンに天才的な才能を持っています。でも両親を事故で亡くしていて、そばにいるのは、飼い猫とバイオリンだけ。でも彼女は隣に住む女子大生と、よく配達に来るピザ屋の青年のことを一方的に友達だと思ってなついていきます。

女子大生のパダ(ジュニ)は継母とうまくいかずに住む家を失い、孤児のピザ屋の青年(ユ・アイン)もお金に困っていて…という、それぞれ悩みと葛藤を抱えていた彼らもハヌルの純粋な心に触れて癒されていきます。そして家族のいない3人がそれぞれに影響しあいながら、世の中に向かって一歩を踏み出していくのでした。

タイトルは、「ハヌル」と「パダ」というそれぞれ韓国語で「空」と「海」という意味を持つ名前の少女たちの友情物語というところからつけられています。

『マウミ』で犬と幼い兄弟との絆を感動的に描き出したオ・ダルギョン監督が、今度は若者どうしの友情を描くべくメガホンを取りました。

主演のチャン・ナラにとっては『オーハッピーデイ』以来6年ぶりとなる映画で、4か月間バイオリンの特訓を受けたのに加え、8キロ体重を落として、童話の中に生きているような純粋な少女という難しい役どころに挑んでいます。彼女は中国でも大人気のスターだけに、中国の金鶏百花映画祭の海外映画部門で主演女優賞を受賞しました。

『ベートーベンウィルス』や『国家代表!?』で注目されたジュニが、ロックバンド出身らしく劇中でもバンドのボーカル役を務めています。また『トキメキ☆成均館スキャンダル』でブレイクしたユ・アインがハヌルに出会って変化していく青年を、ブレイク前の初々しい少年らしい姿で演じています。

アルバニアで開かれたティラナ国際映画祭の競争部門でメディア賞を受賞しています。

tashiro

いかがでしたか? 映画が始まる冒頭に出てきましたが、この映画はサヴァン症候群の少女についての作品でしたが、サヴァン症候群とは、発達障害や自閉症などで脳機能障害を持った人が、普通の人たちよりも知能は落ちるものの、暗記力や音楽など、天才的な飛びぬけた才能が現れる現象のことをいうのだそうです。
この映画は、チャン・ナラの実の父親チュ・ホソン氏が制作者を務めていて、チャン・ナラが中国などでの仕事で稼いだ資金で作った映画としても話題になりました。まさに、チャン・ナラのチャン・ナラによるチャン・ナラのための映画と言えるでしょう。韓国映画ってなんてドラマチックなんでしょう。それではまたお目にかかります。