映画解説

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タイトル ラスト・プレゼント
韓国公開年 2001年
出演者 イ・ジョンジェ イ・ヨンエ クォン・ヘヒョ コン・ヒョンジン
監督 オ・ギファン

【 映画紹介 】

『ラスト・プレゼント』は、余命幾ばくもない妻と、しがないコメディアンの夫がつむぎだす夫婦愛の物語です。公開当時「カップルで見たい映画ナンバーワン」に選ばれるほど女性からの圧倒的な支持を集めました。

才能はあるものの売れないコメディアンの夫(イ・ジョンジェ)と、叱咤激励しながらも彼を支える妻(イ・ヨンエ)。実は妻は不治の病にかかっていたのですが、夫は笑いを届ける仕事だから邪魔したくないと絶対に告げようとしません。そんな妻の気持ちを知って、夫は気付かないフリをして、妻のためにテレビ番組の「コメディーキング」になるべく奮闘するのでした。

あふれる思いをひた隠し、最後まで相手のために振舞う切ない夫婦愛。人を想うとはなんと優しきことなのでしょうか。どうしようもなく涙があふれ出る、催涙映画の決定版です。

病気のことをひたすら隠しぬく妻を演じたのはイ・ヨンエ。『JSA』では颯爽と切れる女性将校を、『宮廷女官チャングムの誓い』では、はつらつとしたヒロインを演じていますが、ここでは、生活に疲れ、体全体が丸みを帯びた少々ダサい主婦に扮し、気丈さとけなげさを表現しています。この演技で黄金撮影賞の人気女優賞を獲得しました。

一方、事実を知り、仕事での成功を誓う夫には、演技派イ・ジョンジェ。コメディアンという役柄だけに、喜怒哀楽に富んだ人間味を出しています。

そのほか、『冬のソナタ』のキム次長でおなじみのクォン・ヘヒョが憎めない詐欺師として登場します。それでは、どうぞ思いっきり泣いてください。

tashiro

ヨンギの職業がコメディアンというだけに、イ・ジョンジェのコメディー演技が見せ所のひとつでしたが、人気コメディアンから3週間の特訓を受け、プロも驚く才能を見せていたそうです。
特にクライマックスの、死にゆく妻に見せるため、ステージで思い切り客を笑わせなければならないという喜びと悲しみが交錯するシーンでは、イ・ジョンジェのパントマイムの演技がチャップリンを髣髴とさせ、より一層胸に迫ってきました。
実はオ・ギファン監督は北野武監督の大ファン。それで、コメディアンでもある北野監督が若い頃にもし妻を亡くしていたらこうなったのではないかということを想像して作り上げたのだそうです。