映画解説
タイトル | スキャンダル~永遠なる帝国~ |
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韓国公開年 | 1995年 |
出演者 | アン・ソンギ チョ・ジェヒョン キム・ヘス キム・ミョンゴン |
監督 | パク・ジョンウォン |
【 映画紹介 】
『スキャンダル~永遠なる帝国』は、1800年の李氏朝鮮時代、第22代国王、正祖の王宮を背景にした時代劇ミステリーです。
政治改革を断行しようという国王とそれに対抗する勢力との間に熾烈な争いがあった王宮で、改革の鍵となる秘密文書を巡って繰り広げられる殺人事件と陰謀渦巻くやり取りを、ある一晩の出来事として凝縮して見せています。いってみれば「王宮の一番長い日」という感じでしょうか。韓国の若手小説家イ・イナの100万部を突破したべストセラー小説を映画化した作品です。
ある日の夜明け、王宮の書庫で国王の命を受けて徹夜仕事に携わっていた一人の職員が死んでいるのが発見されるところから始まります。これが実は先代の王が残した直筆の秘密文書が絡む殺人事件ということが判明し、そのうちに第二、第三の死者が出てきます。一体誰が、何の目的で事件を起こしているのか。
国王の信任厚い書記官のインモンが突き止めていくと、そこには改革を推し進めて理想の国家を目指そうとする国王と、それを阻止しようとする守旧派との権謀術数の駆け引きがうごめいていたことがわかってくるというストーリーです。
ちなみに国王の父親である思悼世子の惨殺事件というのは韓国人なら誰もが知っている歴史上有名なエピソードです。
歴史ものだけに顔の判別がつきにくく、しかも登場人物の名前が覚えにくい。またミステリーだけに、謎が謎をよんでいくのでわかりにくいかと思いますが、あまりそれに気を取られずに見ていくうちに、だんだん「そういうことか」とわかってきます。
物語の語り部となるインモン役を演じているのは、チョ・ジェヒョン。そして理想を夢見て改革断行を目指す志高き威厳ある国王を、韓国の国民スターアン・ソンギが演じています。またインモンと協力して事件を探っていく役で、『風の丘を越えて、ソピョンジェ』で父親役を演じていたキム・ミョンゴンが出演。また重要な役でキム・ヘスが顔を出すのもお見逃し無く。
理想を掲げ、改革を断行しようとする国王と、あくまでも抵抗する守旧勢力という関係性は日本の政治状況にも当てはめてみることが出来て、韓国の時代劇といえども身近に感じながら見ることが出来たのではないでしょうか。いくら志し高き王がいても、一人の力だけではどうにもならないんですね。悪というのはそう簡単にはやられないという現実を思い知らされる結末でした。
結局、王の理想の帝国は夢と消えたわけですが、作品の中で何度か出てくる論語の言葉、
「君子の責任は重く道は遠い、仁を行うを任務とするに責任は重く、死ぬまで続くゆえに行く手は遠い」という言葉が深く胸にしみました。