映画解説

映画解説一覧に戻る

強力おすすめ

タイトル シルミド/SILMIDO
韓国公開年 2003年
出演者 ソル・ギョング アン・ソンギ ホ・ジュノ チョン・ジェヨン オム・テウン
監督 カン・ウソク

【 映画紹介 】

『シルミド』は、30年以上にわたってタブーとされてきた実際の出来事にスポットを当てた衝撃作です。

シルミド事件とは、1971年8月23日に起こりました。1968年、北朝鮮の武装ゲリラがパク・チョンヒ大統領の首を取りに潜入し、銃撃戦を繰り広げたことに端を発します。ゲリラ侵入にショックを受けた韓国政府はその報復措置として、北朝鮮の金日成の首を取るためにと、囚人など社会の底辺に生きる者たちを集めて無人島のシルミ島で密かに殺人部隊を養成しました。3年にも及ぶ命がけの秘密特訓を受け、精鋭部隊となった彼ら。しかし、いざ出撃という時になって韓国政府は南北融和政策へと方針変換し、急遽作戦の中止を決定します。そしてこの殺人部隊の存在が知られてはまずいという理由で、部隊そのものを極秘のうちに抹殺する命令が下されます。政府の裏切りを知った部隊員たちは切羽詰った末、バスを乗っ取って大統領府に向かうのでした。

この事件が起こった当初は「北朝鮮の武装ゲリラがソウル突入を図り失敗した」などと発表されたそうですが、真相は藪の中で、その後も長きに渡って封印されてきた事件でした。映画を見ると、あまりにも理不尽で、時代に翻弄された男たちのやるせなさを思って涙があふれてきます。

この映画は公開されるやいなや空前の大ヒットを記録し、韓国映画史上初めて観客動員1000万人を突破しました。

『公共の敵』シリーズのカン・ウソク監督がメガホンを取り、ソル・ギョング、アン・ソンギ、ホ・ジュノ、チョン・ジェヨン、オム・テウン、キム・ガンウら、男くさい面々が気合の入った演技で熱演しています。

tashiro

これは、軍の訓練士官の一人を演じたホ・ジュノさんが言っていたのですが、彼は10年前にも同じ役でオファーされたそうですが、当時は検閲に引っかかってしまい映画の制作自体がスタートできないという状況だったそうです。それでも、誰かが作らなくても絶対に自分が作ってでも映画化したいと思った作品のうちのひとつだったそうで、念願かなって同じ役で出演できて、ほかの作品とは一味もふた味も違った感慨を覚えたそうです。
ところでこの映画が公開され、話題になったことで、事件の真相究明を求める声があがり、犠牲となった隊員たちの遺骨発掘作業なども行われました。そして2006年7月に国防部過去史真相究明委員会によって、隊員たちは死刑囚や軍特殊犯ではなく、民間人を対象に募集したものだったことなどが発表されました。