映画解説

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強力おすすめ

タイトル おばあちゃんの家
韓国公開年 2002年
出演者 ユ・スンホ キム・ウルブン
監督 イ・ジョンヒャン

【 映画紹介 】

『おばあちゃんの家』は、7歳の少年が田舎のおばあちゃんと暮らすひと夏の経験を描いた作品です。

7歳の少年がある日母親に連れられてやってきたのは山の中のおばあちゃんの家。失業中の母親は、17歳のときに飛び出して以来のこの家に、仕事が見つかるまでの間、子供を預かってもらいに来たのでした。少年にとっては、腰が曲がって、みすぼらしいおばあちゃんは疎ましいだけの存在。おまけにこのおばあちゃんは口も聞けなく、字も書けません。ただでさえ田舎の不便さになじめない少年は、このおばあちゃんに邪険に接してしまうのですが、不平ばかりを言う少年を自然のままに受け入れ、願いを一心にかなえてあげようとするおばあちゃんの姿に、少年の気持ちもほぐれてくるのでした。

都会に暮らしていた7歳の少年の、‘おばあちゃん’という異文化体験の物語。わがままな子供と無償の愛を注いでくれるおばあちゃんの姿を見ているうちに、誰もが、かつて、子供の頃の自分もこうだったのではないかという思いや、自分のおばあちゃんへの思いが湧き上がってくることでしょう。

監督は、『美術館の隣の動物園』のイ・ジョンヒャン監督。監督は自分の亡くなった祖母が自分に注いでくれた大きな愛を思ってシナリオを書いたそうです。

少年は『太王四神記』などで子役として大活躍のユ・スンホ。おばあちゃんは、監督がロケハンに行った現場で一目ぼれして出演を依頼したというずぶの素人のキム・ウルブンおばあちゃんです。そのほかの人物も撮影現地でキャスティングした一般人です。

2002年の作品ですが、誰一人としてスターが出ていない地味なテーマにもかかわらず、内容の良さで400万人を超える観客を動員して大ヒットしたことがその年の最も大きな話題となったほどの作品です。大鐘賞の最優秀作品賞・脚本賞・企画賞を受賞したのを始め、数々の賞に輝きました。

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人生の年輪をいっぱいに刻み込んだ、しわしわのおばあちゃんの存在。このおばあちゃんがただそこにいるだけで、もうこの映画の勝利という感じがしますね。このキム・ウルブンおばあちゃんは、映画を見たこともないという本当に一人暮らしの素人さんで、この映画の制作ノートを読むと、この物語のおばあちゃんと孫の関係性は、そのまま、このおばあちゃんと、監督を始めとした撮影陣との交流の軌跡でもあることがわかります。ちなみに、映画の公開から6年後、成長したユ・スンホとウルブンおばあちゃんはテレビ番組の企画で再会を果たしていました。