映画解説
タイトル | イテウォン殺人事件 |
---|---|
韓国公開年 | 2009年 |
出演者 | チャン・グンソク チョン・ジニョン シン・スンファン ソン・ジュンギ |
監督 | ホン・ギソン |
【 映画紹介 】
『イテウォン殺人事件』は、1997年に実際に起こった事件を元に再構成して検事と容疑者たちの心理戦を描いていくミステリー・スリラーです。
1997年の4月、イテウォンのハンバーガー店で大学生が刺し殺される事件が起こりました。容疑者は韓国系アメリカ人の二人の少年。どちらも、自分は目撃者で友人が殺したと無実を主張し、パク検事はこの食い違う証言を元に困惑しながらも事件に迫っていきます。
監督は、韓国のケン・ローチともいわれる、社会派のホン・ギソン監督です。この事件は有力な容疑者がいながら結局は二人とも釈放されてしまったという、世間を騒然とさせた前代未聞の実際の事件を描いているだけに、4年間、ホン・ギソン監督と、妻でもあるイ・ソン脚本家は当時の事件の関係者たちに会って取材をし、遺族はもちろん、検事、弁護士、解剖検査担当者など40人を超える人々へのインタビューを通して作品のリアリティーを固めていきました。
キャストは、映画『楽しき人生』でバンドメンバーとして共演したチョン・ジニョンとチャン・グンソクが再共演。チョン・ジニョンは執拗な検事に、そしてチャン・グンソクが、時に冷酷で、時に小心者のおびえた表情を見せる殺人容疑者に扮し、ほぼ全編英語のセリフにも挑戦してこれまでとは全く違った姿を見せています。
もう一人の容疑者を演じたシン・スンファンは根性で役を勝ち取り、役作りのために10キロ太ったのをはじめ、英語の努力も重ねて好演しています。そして被害者役でソン・ジュンギが出演しているのもお見逃しなく。
実際に未解決事件のために、映画の最後も結局犯人はどちらかということは見る者の想像にゆだねられています。結局犯人を捕まえることができずに二人の容疑者ともに釈放され何事もなかったかのように生活しているという現実にはやりきれないものを感じますが、だからこそ、この映画は、なぜこんなことになってしまったのか、同じ過ちを繰り返さないようにしようというメッセージが込められています。