映画解説

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タイトル 悪い女~青い門
韓国公開年 1998年
出演者 イ・ジウン イ・ヘウン チャン・ハンソン アン・ジェモ
監督 キム・ギドク

【 映画紹介 】

『悪い女 青い門』は、一つ屋根の下で暮らす対象的な2人の女性の葛藤と和解を描いた物語です。

ある日、エゴン・シーレの絵を抱えて地方の旅館にやってきたジナ(イ・ジウン)。彼女はこの宿に住み込んでお客を取る売春婦でした。その宿の娘のヘミ(イ・ヘウン)は、ジナと同い年の女子大生。ジナはヘミと親しくしようとしますが、ヘミは自分の家が娼婦を囲う商売をしている事で幼い頃から嫌な思いをしてきた反動か、性に対して必要以上に嫌悪し、ジナの事も毛嫌いをします。そんな侮蔑の眼差しを受けるうち、ジナのほうもヘミに攻撃的な言動を取るようになるのでした。

韓国映画界の鬼才キム・ギドク監督の3作目、初期の頃の作品で、男たちの身勝手さとずるさを媒介に描きながら、二人の女性の反目から和解までの気持ちの過程を丁寧に綴り、ファンタジックな優しさすら感じられる物語になっています。

娼婦を演じているのは、ドラマ『カラー』に出演しているイ・ジウン。そして潔癖な女子大生には『冬のソナタ』のチンスク役、イ・ヘウンが扮しています。

ベルリン映画祭のパノラマ・オープニングを飾ったほか、世界各国の映画祭に招かれた作品です。

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葛藤を経て、理解が深まり、誰よりも近しい存在に変わっていく二人の姿に、すべての対立関係がこのような和解の過程を辿ってくれたらいいのにとファンタジーが感じられるラストでした。
映画の舞台は韓国の慶尚北道(キョンサンホクド)、最東端に位置するポハンという場所です。キム・ギドク監督が海兵隊に所属していたころの勤務地で、よく旅でも訪れる場所だそうで、その時にここで見た光景にインスピレーションを受けてシナリオができたということです。実際の撮影もポハンの海辺の古びた安宿にスタッフ・キャストが20日間寝泊りして撮り上げました。