映画解説

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強力おすすめ

タイトル 友へ チング
韓国公開年 2001年
出演者 ユ・オソン チャン・ドンゴン ソ・テファ チョン・ウンテク
監督 クァク・ギョンテク

【 映画紹介 】

『友へ チング』は、1970年代後半から90年代前半までを背景に、4人の幼なじみが、成長するにつれ道を違えていく悲しみを描いたノスタルジック・ノワール映画です。

小学生のときから、悪さもケンカも恋愛も一緒に経験して成長した4人の幼なじみ。それぞれヤクザと葬儀屋の父親を持つジュンソクとドンスは高校時代に退学処分になり、そこから4人の行く道は別れていきます。ジュンソク(ユ・オソン)は父の後をついでヤクザになり、ドンス(チャン・ドンゴン)もまた、ジュンソクと敵対する組織に身を置くようになるのでした。

『タイフーン』や『チャンピオン』など、男くさい人間ドラマを得意とするクァク・ギョンテク監督の作品で、釜山で育った自らの実体験を元に2年をかけて半自叙伝的な脚本を書き上げました。

1970年代から90年代は、軍事独裁政権から民主政治へと移り変わった時代。当時を思い起こさせる数々のアイテムが少年の日の郷愁を感じさせ、登場人物たちが話す釜山なまりが作品に独特な魅力を与えて、観客動員800万人を超える特大ヒットとなり、社会現象にもなりました。

男気と憂いを感じさせる熱演を見せて大ブレイクしたユ・オソンと、この作品で真の演技者として評価されるようになったチャン・ドンゴンの共演。

特にチャン・ドンゴンは髪を短く刈り込み、優しく見えてしまう長いまつげを抜き、タバコを吸って声を枯らすなどしてそれまでのハンサムスターのイメージを一新。本作品で新境地を開きました。

アジア太平洋映画祭で、ユ・オソンが最優秀主演男優賞を、チャン・ドンゴンが最優秀助演男優賞を受賞。ユ・オソンはこのほか百想芸術大賞で人気賞も獲得し、チョン・ウンテクが新人男子演技賞に輝きました。

立場や境遇が変わっても幼いころに培った友情は、たとえ形を変えても心を捉えて離さないのだということを教えてくれる、見ていて熱いものがこみ上げてくる名作です。

tashiro

この映画、あまりにもヒットしたので、チャン・ドンゴンが言う「俺はお前のパシリか」や、刺されたときの「もう十分食らった」などの釜山なまりのセリフや印象的なシーンがその後さまざまな作品の中でパロディーのように使われました。
クァク・ギョンテク監督は、この題材への思い入れが強いようで、その後監督自身の手によって連続ドラマにもなり、ヒョンビンがチャン・ドンゴンの役を、キム・ミンジュンがユ・オソンの役を演じて話題を呼びました。また映画の続編となる『チング 永遠の絆』もユ・オソン、キム・ウビン主演で製作しています。