映画解説

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タイトル ワンドゥギ
韓国公開年 2011年
出演者 キム・ユンソク ユ・アイン パク・スヨン キム・サンホ カン・ビョル
監督 イ・ハン

【 映画紹介 】

『ワンドゥギ』は、ユ・アイン主演、思春期の不良青年とおせっかい教師の風変わりな交流を描いて、韓国公開時には530万人の観客を動員するという大ヒットを記録した作品です。

ベストセラーになった、チャンビ青少年文学賞を受賞したキム・リョリョン作家の同名小説が原作です。青少年文学賞と聞くと、日本でいう、文部省推薦の王道感動モノかと思いきや、そんな先入観がいい意味で裏切られます。

だいたい、登場する教師が、とんでもない不良教師で、演じているキム・ユンソクのうまさも手伝って、おいおい!と突っ込みを入れたくなるような不真面目ぶりなんですね。

主人公のワンドゥギも、自分よりも背の低い父親と、いつの間にか一緒に住むようになった血のつながらないおじさんとの貧しい暮らし、そして突然現れた母親の存在というグレてもおかしくない状況にいますが、ケンカは強いけれどそんなに積極的な不良でもなく、世を嘆いて強く反抗しているわけでもなく、家族思いの、もっとフラットな青年。自分にちょっかいをかけてくる不良教師をうざいと感じながら、神様に彼を殺してくれるように祈ってみたりもします。

下町に住む個性満点なご近所さんたちとの付き合いも描かれながら、随所にユーモアがあって、クスクス笑ってしまいます。不恰好だけれどあったかくって、「なんだかいいなあ、こういうのって」と思わせる、見終わって心地いい風が吹くような作品です。『永遠の片想い』『青春漫画~僕らの恋愛シナリオ~』などのイ・ハン監督の作品です。

ユ・アインが高校生のワンドゥギに扮して、純粋でありながら、反抗的な気質も兼ね備えているという伸びやかで共感を呼ぶ若者像を作り出しています。

キム・ユンソクは人間臭い定形外の不良教師を演じて、この人間ドラマに活力を与え、この二人のコラボが面白い化学反応を生み出しています。

tashiro

ユ・アインは、オーディションで役を得たのですが、実年齢25歳なのに高校生の役がよく似合います(笑)。フィリピン人の母親を持つという設定だったので毎回顔を黒くメイクして演技していたそうですが、もっとも大変だったのは3ヶ月ものあいだ、キックボクシングを習ったことだったそうです。最初は全くできなかったそうですが、一生懸命に練習して、最後には武術監督からも褒められるようになったそうで、その成果が映画の中に現れていました。