映画解説

映画解説一覧に戻る

noimage

タイトル ロマンス
韓国公開年 2006年
出演者 チョ・ジェヒョン キム・ジス チャン・ヒョンソン ユン・ジェムン
監督 ムン・スンウク

【 映画紹介 】

『ロマンス』は、刑事と人妻の、悲劇的な状況の中で、文字通り、燃え上がるロマンスを描いた作品です。

正義感の強いはみ出し刑事のヒョンジュン。行き過ぎた捜査で地方に飛ばされ、離婚されて子供とも会わせてもらえない失意を抱えたまま、凶悪犯罪の捜査に明け暮れています。そんなある日、彼が出会った美しい人妻は、権力者で偏執狂の夫から暴力を振るわれている、言いようのない悲しみを秘めた女性でした。偶然出会った2人は、ひと目で惹かれあい、孤独な心を埋めあうように想いが燃え上がりますが、嫉妬に狂った夫の策略にはまり、二人はどんどん追いつめられていくのでした。

たとえ世界が否定しても、命がけで愛を守り抜こうとする男女の愛の姿を描いた、古典的な香りのする正統派恋愛映画です。

東京国際映画祭でも上映された『バタフライ』という映画で作家性を認められたムン・スンウク監督が初めて商業映画に挑戦した作品です。

『悪い男』『ニューハート』などのチョ・ジェヒョンが、荒っぽい中にも、男の優しさを見せる人情派の刑事に扮し、『英雄時代』のキム・ジスが、そのクラシカルな圧倒的な美しさで魅惑的な悲劇のヒロインを演じています。

tashiro

主演のチョ・ジェヒョンが、命を懸けられるほどの絶対的で強烈な愛に陥ってみたいという男のロマンを刺激して満たしてくれる作品だと語っていましたが、現代ものではありましたが、男女の置かれている設定が、どこか時代がかった印象を受けたと思います。それもそのはず、監督は、オペラの『トリスタンとイゾルデ』のような、中世のロマン主義の作品たちを参考にして、自分のすべてを捧げてもいいとまで思う、純粋な恋人たちの物語を、オペラ的で叙事詩的なものをイメージして作ったのだそうです。
それにしても、韓国では20代の若い世代が映画のメイン観客なので、40歳に手が届くチョ・ジェヒョンと30代半ばのキム・ジスといった、この世代の恋愛ものは貴重でした。