映画解説

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タイトル ファム・ファタール
韓国公開年 2008年
出演者 キム・ミョンミン ソン・イェジン キム・ヘスク シム・ジホ
監督 イ・サンギ

【 映画紹介 】

『ファム・ファタール』は、美貌の女ボスが率いる大型スリ団と警察が繰り広げる、攻防と禁断の愛を描いた犯罪アクションです。

凶悪事件を担当する韓国のFBIこと広域捜査隊のベテラン刑事は企業型スリ事件の担当を命じられます。彼はある日男たちに殴られている女を助けるのですが、その女こそが、韓国と日本で暗躍するスリ組織の女ボスでした。彼女は官能的でセクシーな女の武器を駆使して刑事に取り入り、刑事も、相容れない間柄と思いながらも女に惹かれていき、彼女の誘惑にほだされてしまうのでした。

この作品がデビュー作となるイ・サンギ監督が、実際のスリ捜査のベテラン刑事に取材し、6ヶ月間捜査隊に同行して、スリ検挙の現場など、捜査隊員たちの日常を見続けた成果を2年かけて脚本化しました。

数人でチームを組み、組織的にスリを働くリアルに再現されたスリのテクニックの数々は、見るものを驚かせると同時に、注意を促す効果もあります。

キム・ミョンミンは、母親に複雑な愛憎を抱いていて、危険な愛に取り込まれてしまう役どころ。ベテラン刑事の持つカリスマとタフな男性美を漂わせています。

ソン・イェジンは清純美人のイメージを脱ぎ捨て、妖しい色香で男を惑わす魔性の女に変身して話題となりました。

またソン・イェジンにも増して大変身したのが数々のドラマで母親役を演じてきたキム・へスク。化粧気のない荒々しく殺伐とした伝説の女スリに扮し、ベテラン女優の底力を発揮しました。その演技は大鐘賞とプイル映画賞で共に助演女優賞を受賞しています。

また、『霜花店~運命その愛』にも出ているシム・ジホがクールなスリ団のメンバーで登場します。

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ソン・イェジンは『四月の雪』のあと、今後は多様なジャンルの作品で多様な演技をしていきたいと語っていたのですが、その言葉通りに、はじけたコメディエンヌぶりを発揮した『ナンパの定石』や、離婚した等身大の女性に扮した『恋愛時代』に続いて、この作品で、終始露出が多い衣装でベッドシーンにも挑むなど、大胆なイメージチェンジを図りました。俳優としてひとつのイメージに閉じ込められたくなくて、自分自身とは全く違う女の姿を見せたかったということですが、それでも、見る人にどう思われるか、大いに悩み、絶えず怖さがあって神経を遣ったそうです。挑戦を恐れないソン・イェジンは『白夜行』でまた違ったファム・ファタールを演じています。