映画解説
タイトル | アドリブ・ナイト |
---|---|
韓国公開年 | 2006年 |
出演者 | ハン・ヒョジュ キム・ヨンミン ユン・ヒソク イ・イルファ |
監督 | イ・ユンギ |
【 映画紹介 】
『アドリブ・ナイト』は、身代わりを頼まれた女性が体験する、予期せぬアドリブのような一夜の旅を描いた作品です。
人と待ち合わせをしていた女性が、見知らぬ男たちから、10年前に行方不明になった幼なじみと間違われて声をかけられます。人違いだと説明してもなかなか納得しない彼らは、間違いでもいいから、彼女の父親が死にそうなので、娘の代役として最後にひとめ会ってやってほしいと頼み込みます。そうして女性は都会から離れた田舎町に連れて行かれるのですが、そこには男の死を看取ろうと集まった親戚や隣人たちがいて、偽の娘の登場に喧々諤々が始まるのでした。一見平凡に見えながら、どこか謎めいた女性にとっても、人の臨終に立ち会うという特別な経験は、気持ちに変化をもたらすのでした。
原作は、日本の作家、平安寿子の同名の短編小説です。『チャーミング・ガール』のイ・ユンギ監督作品らしく、セリフの少ないヒロインの微妙な心情を、繊細な感性で丹念に追っていきます。
ヒロインには『春のワルツ』『イルジメ〔一枝梅〕』などのハン・ヒョジュ。心に空虚なものを抱えた陰影のあるヒロインという難しい役どころを演じ、シンガポール国際映画祭で最優秀主演女優賞を獲得。韓国映画評論家協会賞でも女性新人賞に輝きました。
ほかにも、『春夏秋冬そして春』のキム・ヨンミン、『90日愛する時間』でキム・ハヌルの夫役を演じたユン・ヒソク、『ファッション70s』『インスンはきれいだ』のベテラン、チェ・イルファらが出演しています。それではどうぞご覧ください。
この作品は、イ・ユンギ監督が小説を偶然読み、自分のスタイルに合っていて、映画に向いているなと思い、自ら提案して映画化になったのだそうです。
原作では、主人公の女性が、最初に名前を聞かれた段階ですぐに答えているのですが、映画ではそれを最後に持ってきているんですね。これによって、映画を見ている人に、彼女は実はやはり本当の娘なのではないかというミステリーも生まれますし、また他人の代役をしたことで、さまよっていた彼女がようやく自分自身を生きようという気持ちになり、名前を名乗ることが出来たという心の変化を描くことに成功しています。