映画解説

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タイトル 天国からの手紙
韓国公開年 2003年
出演者 シン・ハギュン キム・ヒソン キム・ミンジュン
監督 キム・ジョングォン

【 映画紹介 】

田舎の純朴な青年が幼なじみの孤独な女性に捧げるノスタルジックな純愛物語です。

幼くして父親を亡くした少女ソヒは、父親が火星に行ったと信じて火星に手紙を書きます。それを知ったスンジェ少年はソヒの父親に成り代わってソヒに手紙の返事を書き続けます。やがてソヒはソウルのおばのところに引き取られ二人は離れ離れになりますが、17年後、郵便配達人となったスンジェ(シン・ハギュン)は美しき成長したソヒ(キム・ヒソン)と再会し、心に秘めていた恋心を再燃させるのでした。

ダムに沈み行く運命の村を舞台に、素朴な田舎の村の生活と自然、穏やかに流れる村人同士のやり取りを描きながら、一人の男の一途で純粋な愛が語られていきます。大切な人、大切な場所が失われていくことへの寂しさ、切なさがゆったりとした映像の中で伝わってきます。

主演は『ガン&トークス』『マイ・ブラザー』『ナイスガイ』などのシン・ハギュンと『悲しき恋歌』のキム・ヒソンで、『チェオクの剣』で孤高の革命家を演じているキム・ミンジュンが本作品で演技者デビューしています。

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ファンタジックで童話のような作品でした。この青年は、大切な思い出と美しい愛の追憶に殉じたわけで、悲しいラストなのですが、幸せそうに水の中に沈んでいく表情が不思議と温かい余韻を残します。
苦労して育った悔しさをバネに、全てにおいて成功を目指すソヒは、傷つくたびに田舎と純粋なスンジェの存在が恋しくなります。そういう意味で、スンジェは現代を忙しく生きるすべての人にとっての心の拠り所で、自分が失ってしまった純粋さを思い出させるものの象徴なんですね。